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水の器 鋼の翼2

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 制御カードは、「デュエルモンスターズ」のモンスターカードに偽装されていた。数年前に導入されたシンクロモンスターのカードだ。真っ白い枠が目にまぶしい。カードにはそれぞれ、《レッド・デーモンズ・ドラゴン》、《ブラックローズ・ドラゴン》、《エンシェント・フェアリー・ドラゴン》、《スターダスト・ドラゴン》と名付けられていた。伝説ではしもべの竜は五体あったそうだが、五体目が諸説ありすぎて一つに絞り込めなかったのだ。制御カードは四枚もあれば十分なので、当時正式に作られたのはこれらだけだった。
 まさか、重要アイテムをカードゲームにしてしまうなんて。玩具会社の考えることはよく分からない。面白いけど。それが四人の科学者の抱いた感想だった。カードには、ご丁寧にもカード効果がきっちり記されていた。モーメントが完成した暁には、カードのレプリカを記念パックにでもして売り出す予定だったのではないかと、後になってレクスは推測している。
――「赤き竜の伝説」には、赤き竜と共に戦った人間についても書かれていた。赤き竜から選ばれし人間は、証として竜の形の痣を腕に持つのだと。
「まるで、兄さんみたいだね」
 後にレクスとルドガーが二人きりになった時。レクスは本心から兄に向けて言った。
「――そうか?」
 ルドガーが納得いかない風に答えた。痣があるであろう左腕をそっと擦りながら。

 モーメント。科学技術の粋を集めて造り上げられた、科学者たちの夢の結晶。それに彼らが神の名を授けたのは、夢に対する意欲と希望の現れと、ただのフレーバー付けのつもりだった。
 予想できる訳がないだろう。彼らの研究成果が、あんな形で乗っ取られてしまうなんて。それも、忘れられた神話や伝説の類などに。

作品名:水の器 鋼の翼2 作家名:うるら