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だぶるおー 天上国 王妃の日常3

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 涼しい顔でティエリアの手を握ってアレルヤも、とんでもないことを言い出す。まずい、と、ニールが逃げ出そうとしたら、どっこいマリーとジョシュアが両側から腕を掴んでいた。
「ニール? 存分に愛されてきてくださいね? 」
「おまえは、王妃なんだから、そっちの仕事してろ。俺のほうは心配しなくてもいい。」
 げっっ、と、振り解こうと暴れても、がっしりとホールドされていて抜け出せない。
「ティエリア、アレルヤ、ジョシュアのこと頼むぞ? 」
「任せて。僕らでやっとくから。ジョシュアが心配しなくていいようにしとくからさ。」
「ジョシュアの家族に迷惑かからないように。」
「わかっている。あなたは大人しくしていてください。」
 アレルヤとティエリアは、そう言うと、その場から消えた。すぐに対処すべく黒の城へ跳んだ。


 そこにはグラハムの気配がなかったので、ビリーと簡単に接触は出来た。一晩、森を彷徨って発見されたので、そのまんま寝込んでいたからだ。一人で寝ているのは、好都合とばかりにアレルヤが、暗示でジョシュアのことや王妃のことは思い出せないようにした。そして、ティエリアが周辺の人間の意識を調べて、ジョシュアに関することが漏れていないか確認もした。それも杞憂らしく、誰の意識にも王妃のこともジョシュアのことも現れない。これなら問題はないだろうと、すぐに戻った。わずかに時間のことで、まだニールは、マリーとジョシュアに拘束されて脂汗を掻いているままだった。
「大丈夫みたい。変態さんは留守だったしビリーさんは寝てたから、暗示をかけてきた。ジョシュアのことは忘れてもらったから安心して。」
「ありがとう、アレルヤ、ティエリア。ほら、終ったみたいだぞ? 陛下、こいつ、とりあえず潰しといてくれ。用心するにこしたことはないからな。・・・あのな、ニール。わざわざ危険なとこに飛び込むのは禁止だ。やれるヤツがやれば、簡単なことだろ? 」
 アレルヤの報告に、ジョシュアは礼を言って、ニールの腕を刹那に渡す。それから、マリーを教授に紹介すべく、技術院へと案内することにした。
「ハレルヤ、奥さん借りるぜ? 」
「おう、こきつかってくれ。うちのは、使い出があるぞ。」
 じゃあ行こう、と、マリーと連れ立って部屋を出て行く。一ヶ月ちょいの滞在しかしていないはずのジョシュアだが、ニールの扱い方は、誰よりも上手いことが立証された。
「いい護衛が来てくれた。」
「まったくだ。ニールに反論もさせないなんて、すげぇーな。」
「僕らは、ニールの言うことに、ついつい騙されたり従っちゃったりだもんね。こういう時、たらされない人ってすごいよね。」
「ジョシュアが永久就職してくれると、俺は安心していられるんだがな。」
 四人が感心したように後姿を見送っていると、ニールが、がっくりと肩を落としていた。護衛としての腕は買っているが、ここまで存外に扱われると、ちょっと悲しい気分にもなる。たらされない人間と、あまり付き合っていないと、こういう時にショックがあるものらしい。
「・・・・刹那、夜にたっぷりと付き合うから昼間からは勘弁してくれないかな? 」
「ジョシュアからの依頼だからやる。」
「・・・さいですか。」
 やる気満々の顔で刹那が頷くので、こりゃ明日も、へとへとだな、と、覚悟して刹那に腕を引かれて王の部屋に連行されてしまった。



 動けない程度に腰が痛いというのは、ある意味、いいんじゃないか? と、城の住人たちは、ジョシュアの行動を賞賛した。身軽にほいほいと出て行かれたら、今は、いろいろと困ることが多い。王妃が居ないと、妖精王様は、不機嫌になって怖いからだ。
「だいたいな、今のところは、人材集めに躍起になる時期ではないだろう。まずは、孤児院の運営を軌道に乗せないと、世界から戦いを失くすという行動には移れないんだからな。」
 世界に喧嘩を売る下準備に人材確保をしたい、と、考えているニールに、釘を刺しているのが、カティーだ。何もかもが一足飛びにできる代物ではない。まずは、孤児院を軌道に乗せてしまわないと動きが取れない。その間に並行して、武器や武具の開発などもさせていくが、それだって、優先するのは孤児院のほうだ。建物を計画中の今は、まだまだ、開発まで手は回らない。そこいらを、きっちりと理詰めで説明して、カティーが苦笑する。一応、王妃様は聞いているが、そっぽを向いているのだ。
「ニール、良い年の大人がむくれても可愛くないぞ? 」
「むくれてない。カティーねーさんの言うことは理解してるさ。ただ、俺だけ軟禁されてる意味がわかんねぇーって言ってんの。」
「王の傍に付き従うのは、王妃の務めだろ? 」
「けどさ・・・俺は娼婦じゃねぇーんだから、夜の仕事しかさせてもらえないっていうのはおかしいって言うんだ。」
「別に、それだけじゃないだろ。陛下は、おまえが傍に居ると機嫌が良いし、折衝も捗るので、私たちは大助かりだ。」
 カティーやスメラギは先代の妖精王の御世から、天上の城に暮らしている。ニールやライルの子供の頃も知っているので、こういう説教というのは担当になっている。教授の助手をするつもりをしていたのに、行けたのは初日の半日だけという体たらくに、ニールがキレた。妖精王に向かって、「俺は、おまえ専属コールガールか? 」 と、怒鳴ったものだから、妖精王のほうもキレて、腰を治さなくなってしまったので寝たきり生活をさせられている。刹那が部屋に戻って来なくて、丸二日、ニールの腰は、ようやく持ち主の指示に従うことを思い出した。どうにか伝い歩きで、部屋を移動できる程度にはなっているが、まだ痛いので呻いている。見舞いがてらに訪れたカティーが、動けないので、そこで滔々と説教をかましている。というのが、今の状況だ。
「けど、エイフマン教授は、俺が呼んで来てもらったんだから、その人の世話はするべきだろ。建物が落成したら帰られると思うし、それまで手を貸してもらうのに、気分良く過ごしてもらわないと。」
「そちらは、スメラギとマリーでフォローしているから心配するな。イアンと話が合うらしくて、楽しそうに働いてくださってる。」
 最初から永住するつもりの召還者たちなら、周囲に融け込んで貰うために、ニールもあまり世話をしないようにしている。だが、仕事が終ったら、従来の場所に戻る召還者たちは、それまで不自由のないように、気分良く働いてもらえるように、ニールやライルは、傍に控えているようにしている。それは、召還した側の責任だと、ディランディー家では考えられている。それが遂行できていないのが、ニールには大いに不満だ。
「だが、おまえが陛下の体力を適度に発散させてくれているのは、陛下の健康のためにもいいことだし、ストレスも解消されているんだぞ? そちらのほうが、この国では重要なことじゃないか。」