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だぶるおー こらぼでほすととりぷる

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「こちらでお世話になっているアレルヤの身内のものです。ご挨拶がてらに寄らせていただきました。」
 代表して、二ールが挨拶すると、相手も、ああ、と、深くお辞儀した。
「うちのパティシィエが楽しみにしてたんですよ。さあ、どうぞ。」
 丁寧に案内されて、店の奥へ通された。ティエリアは、ちょっと緊張しているが、ライルと刹那は、どかどかと席につく。すぐに、メニューを渡された。
「俺たち、あまり洋菓子に詳しくないので、お勧めを御願いします。それから、・・・・・紅茶でいいか? ティエリアはフレッシュジュースのほうがいいか? 」
 洋菓子なんて、選ぶのも難しいからお任せにした。飲み物だけ確認する。
「俺は、ジュースがいい。」
「俺、ミルクティ。刹那は? 」
「ストレート。」
「それと、俺もストレートで。」
「承知いたしました。・・・・双子さんなんですか? 」
 まったく同じ顔の二ールとライルというのは、注目の的になる。この年齢で同じ顔が雁首揃えている光景というのは珍しい。
「ええ、双子です。俺が、二ールで、こっちがライル。それから、刹那とティエリア。アレルヤとハレルヤの身内みたいなもんです。」
「ああ、失礼しました。私、ここのオーナーの橘と申します。」
 とりあえずオーダーを通して来ます、と、橘が奥へ引き込む。それと入れ替わりに、サングラスの体格のいい男が、水とおしぼりを運んでくる。
「千影さん? 」
 ライルが、そう尋ねる、と、「はい。」 と、綺麗な声で返事された。それを聞いて、二ールが立ち上がって、挨拶する。
「とんでもない。私のほうこそ、アレハレさんたちにはお世話になりっぱなしで・・・・とても優しい方なんで嬉しいです。」
「いえ、世間知らずなんで、びしびし鍛えてやってください。そのほうが当人のためですから。」
「兄さん、あんた、アレルヤたちのおかんかよ? 」 
 呆れたようにライルがツッコミをするが、刹那は、「二ールは、俺のおかんだ。」 と、切り替えした。
 ちょうど客が他にいないから、すぐに注文のものが運ばれてくる。アレルヤが照れたように、ちょっと赤くなって、ティエリアの元へ飴細工の綺麗なお菓子とジュースを置く。
「季節のパイの飴細工かけでございます。こちらは、大人のモンブランです。」
 ちゃんと言い終えて、はふっと息を吐いたアレルヤに、ライルとニールが拍手する。続いて、白い厨房服の男が、皿を運んできた。
「いらっしゃいませ、こちらは、フィグという焼き菓子で、甘いものが苦手な方にも喜んでいただけるケーキです。そして、こちらがショートケーキ。うちの定番です。」
 それらを置いて、「ようこそ、いらっしゃいました。」 と、顔を上げた小野は絶句した。双子が、とっても綺麗な双子が眼に飛び込んだからだ。
「小野さんですね? アレルヤとハレルヤがお世話になっております。今後とも、よろしく御願いいたします。」
 立ち上がって丁寧に挨拶する双子の片割れに、くらくらした。あまりにも好み過ぎて、心臓が破裂しそうだ。
「あ、いえ、僕は・・・・アレルヤくんとハレルヤくんは、とても頑張ってくれてまして。・・・ええ・・・はい・・・」
・・・・うわぁーん、モロ好みっっ。二人同時に食べちゃいたーいっっ・・・・
 アレルヤから聞いていたが、こんな好みが同じ性癖なんて、神様ありがとーーーと叫びたいところだが、橘がすかさず、その思考をキャッチして、ぼかっと一発、小野を殴る。
「おまえ、アレハレの身内に欲情してんじゃねぇーよっっ。」
「いや、ちっ違うよ、橘っっ。僕、この方たちがゲイだってことが嬉しくてさ。」
 という、小野の言動に、はい? と、四人が同時に視線を小野に向けた。それに気付いて、小野のほうは、あれ? と、首を傾げた。
「あの、アレハレくんたちから、身内にゲイがいるって・・・」
「すいません、俺、ノンケです。」
「はーい、俺はゲイですが、結婚したから刹那オンリーでーすっっ。」
「俺は、ゲイではない。」
「ゲイって、なんだ? ニール。」
 というような四人の反応に、橘と小野が絶句した。
「ゲイって男が好きっていう・・・キラとアスランとか、悟浄さんと八戒さんみたいな人たちだよ、刹那。おまえ、ライルが嫁なんだから、ゲイに該当しているぞ。」
「そうか、なら、俺はゲイだ。」
「兄さんっっ、自分だけ外れることないだろ? あんただって、刹那のこと好きじゃんかっっ。」
「俺のは、おまえとは違うよ。双子だからって一緒にすんなっっ。」
「そうだ、ニールのは違うぞ、ライル。これは、俺のおかんであって嫁じゃない。」
「刹那、聞き捨てならないな。おまえだけのおかんじゃなくて、俺のおかんでもある。」
「うるさい、ティエリア。おまえにがアレルヤかあるだろ? おまえはゲイだ。」
「勝手に当てはめるな。不愉快だ。」
 ウダウダとした喧嘩になりそうなので、こらこらと手を叩いて、ニールが止める。店で言い争いなんてするな、と、軽く叱ると、ティエリアと刹那は大人しくなる。
「騒ぐなら、表へ出て来い。・・・すいません、まだ社会勉強中なんで。」
「もう三人とも、ニールに迷惑かけちゃダメでしょ? 」
「おまえら、あんま煩いと叩き出すぞ。」
 アレハレルヤも、同時に叱って、すいません、と、小野と橘に、ニールと一緒に頭を下げた。
「僕たちのおかあさんでもあるんですよ? ニールは。だから、ついつい取り合いになっちゃうんです。」
「「おかあさん? 」」
 はい、と、朗らかな笑顔でアレルヤが大きく頷く。いや、なんていうか・・・と、ニール当人は苦笑している。
「血の繋がりはライルだけなんですが、こいつらの面倒もみていたので、そんなことになっているんです。」
 俺、面倒みられてないっっ、と、ライルが言うので、ぼかんとティエリアに殴られている。
「ほら、アイスクリームが溶けるぞ? ティエリア。はい、みんな、食べろ。」
 ニールが、そう命じると、三人は、ああっと騒いで、もぎもぎと食べ始める。すいません、と、もう一度、謝って、ニールも手をつける。
「ああ、そうだ。橘さん、持ち帰り用にホールのケーキを御願いします。」
「わかった。・・・てか、あんた、いくつなんだ? この集団の親ってさ。」
 もう丁寧に喋るつもりは失せた。よくわからないが、この四人というか五人をフォローしているというのは、よくわかった。
「三十は越えてますよ? 」
「それで五人の子持ちかよ? 」
「俺としては弟の感覚なんてすが、こいつらは言葉を知らないんですよ。」
「それで、ひとりだけノンケ?」
「そういうことになりますかね。」
 これ、美味いですねぇーと言いつつ、ちょっと食べただけのケーキを刹那に回している。すでに、刹那は自分のケーキを平らげているので、そちらへもはぐっと齧りつく。
「ニールさんは、ノンケなんですか。非常に残念です。僕と新しい扉を開いてみませんか? 」
 うふふふふ・・・と、小野がニールに擦り寄ろうとしたら、背後から、「小野さぁーん。」 という悲しい千影の声と、「うちのに手を出すな。」 というハレルヤのドスの利いた声に遮られた。