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ところにより吹雪になるでしょう

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 服の下へ手をもぐり込ませ肌に触れる。身体の線をなぞると予想していたとおり栄口は高校のときと比べて痩せてしまったように感じた。痩せた? と問うと、ちょっと痩せたと困ったように笑う。
 あの頃、水谷は自分の知らないところで栄口が変わってしまうのがすごく嫌だった。ずっと変わってしまう不安に捕らわれていたけれど、この笑顔はあの頃から変わらない水谷の大好きなそれだった。栄口を自分のものにしていいのかなと水谷は少しためらう。しかしそんな遠慮も栄口の服を剥ぎ取るうちにどんどん薄れていった。
 裸になるとお互いが男同士だということに改めて気づかされる。栄口の身体は痩せたというよりは引き締まっていて、前より大人に近づいたように思えた。服を脱がすと開き直ったのか、栄口は水谷のキスへ貪欲に応じるようになった。絡む舌は熱く、息継ぎをするのも面倒なくらい夢中で求め合う。
 短い呼吸の拍子で、中へ入れた指にぎゅっと肉壁が密着する。狭いそこで軽く曲げると栄口が耐え切れず甘い悲鳴を漏らした。水谷にはかわいいんだかやらしいんだか、もうわからない。
「つか、声、やばい」
「隣?」
「聞こえるかも」
 困ったようにそう言われて壁をちらりと見はしたけれど、水谷には目の前の栄口以外を考えられるほどの余裕はなかった。栄口の中でぬるりと指を動かすと不安げな表情は消え、また顔をしかめて何かに耐える。見た目は辛そうだけど、気持ち良くてそういう表情になっていることを水谷は知っている。
「入れてもいいかなー……」
 そろそろ我慢が利かなくなってきた水谷は少し甘えた声で栄口へ問う。自分にとって都合の悪い答えが返ってくるのが嫌で、さっきひどく反応した場所を執拗に撫でると、栄口はより強く拳を握り締め、瞳を潤ませながら「だめ」と鳴いた。随分そうしていたのか拳の指先は赤く充血していた。
 しかし指と実物の大きさはやっぱり違うらしく、水谷としては十分慣らしたつもりだったのに焦りだけが高まって全然中へ入っていかない。何度か試してだめだったから下の栄口は明らかに疲弊していた。辛そうだし、やめようか? と水谷が提案しても栄口は納得しない。
「痛くないから、平気」
「無理すんなよ、別にオレ……」
「入れて」
 栄口が据えた目でそんなことを言い切った。いつもとのギャップが激しすぎて変に煽られた水谷はその勢いでまた始めてみる。「入れて」なんて言われると、痛そうな栄口の顔も苦しげな悲鳴にも、なんだかすごく興奮してしまって、かなり無理矢理だったけどなんとか全部入れることができた。
「さかえぐち、大丈夫……?」
「……全部、入った?」
「う、うん」
「……よかった」
 心配でたまらない水谷をよそに、栄口はなぜか安堵している。水谷が愛しげに短い前髪を撫でるとその額は汗でうっすら湿っていた。電気ストーブの明かりが重なった二人の輪郭をぼんやりと照らし、部屋の空気は乾いているのにどこか静謐だった。
 栄口が割られた脚の片方をわずかによじらすだけで、繋がった部分がぎちぎちと水谷を締め付ける。栄口の浅い呼吸に合わせて中がうごめき、奥へ奥へと持っていかれそうで気持ち良すぎる。
「……動いてもいい?」
「うん……」
 その肯定には半分怯えが混じっていたけれど本能的に水谷の腰は動きだし、栄口はまた顔をしかめて耐える。今度はきっと痛みを我慢しているんだろうなと予想はつくのだが、熱く溶かされそうなそこに入ってしまうともう止めることはできなかった。
 少し萎えてしまった栄口を軽く扱くと、身体をわずかに震わせたあと中がぎゅっと締まった。うっかり水谷は意識の遠のくまま出してしまいそうになった。
「……さわるの、やめて」
「なんで?」
「声、でるから」
 水谷を見てそれだけ言うと栄口は恥じらいながらまた目を逸らした。
 そこでまたメーターが振り切れてしまった。ぐぐっと前へ身体を傾けると繋がりが深くなり、歯を食いしばって声を耐える栄口の口元を、手のひらで乱暴に塞いだ。一瞬驚いた顔をした隙に、栄口が良くなる場所を一気に攻めたてた。
「んんんっ」
 鼻先から堪えきれない喘ぎが漏れ、手の皮膚に唇の温かい感触がする。尚もそこを擦り続けると出てくる声がいっそう苦しく高くなる。汗が落ちたすぐ先で栄口は首を横に振っていた。
「んっ、んっ」
 よっぽど良いのかすごく痛いのかわからないけど、栄口の目には涙が溜まっている。水谷は声が出ないように手を強く当てているのだが、何だか無理矢理汚しているようですごく興奮した。
 腰を寄せて奥まで突き上げると栄口の身体が大きく震え、腹に白が散った。同調してぎゅうぎゅうと中が締め付けられたから、つられるように水谷は出してしまった。
 甘く痺れるような感覚に身を任せ、しばらく息を整える。下で苦しそうにしている栄口にようやく気づき、水谷は塞いでいた手を退かした。ぷは、と栄口は大きく息を吐き、そのまま何度か浅い呼吸を繰り返す。
 お互い薄く目を開いたまま舌を絡めて、水谷がゆっくり中から出すと栄口は身体を震わせ、違和感に耐えているようだった。
「ごめん、オレ、気持ち良くて」
「……」
「思いやりに欠けたというか……」
「気持ち良かった?」
「あっ、うん、それはすっごく」
「ならいい」
 緩慢な動きで身体を起こし、栄口は水谷へ向き合った。少し寒いのか、その辺に脱ぎ散らかしたシャツを適当に羽織り、電気ストーブへと手をかざす。栄口のその淡々とした態度が水谷には怒っているように思えて、意味なんてないのに裸のまま正座してしまった。
「……痛くなかった?」
「平気だって言ってるだろ?」
 橙色の明かりを受けた栄口が苦笑いを返したしたけれど、水谷には全然平気だと思えなかった。受け入れる場所じゃないところに強引に入れて、気持ち良すぎて夢中で動いていたことを今になって後悔している。
 しょげる水谷へ、目線はストーブのままおもむろに栄口は「ここなんにもないだろ」とつぶやいた。
「バスの時刻表がスカスカだった」
「ははは」
 とりあえず思い当たることを述べたが、水谷はなぜ栄口がこんなことを聞いてくるのかわからなかった。疑問でいっぱいの水谷がじっと見つめると、栄口は視線に照れ、その目を相手へ向けた。
「だからずっと水谷のことばっかり考えてたな……」
 そして小さく笑って「ありがとう」なんて言わないで。オレだって栄口のことばかり考えてたし、オレだってたくさんたくさん「ありがとう」って言いたいよ。
 泣くなよ、と水谷の涙を拭う栄口も大分感情が揺らいでいるようだった。もう一度、確かめるように触れるだけのキスをしたら、栄口の目から自然と涙があふれていた。その瞼を優しく唇で触れたあと、水谷は栄口の肩を強く抱き、泣きじゃくる背中を撫でた。