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永遠に失われしもの 第10章

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「ヒヒ...公爵~...」

 
 シエルのリボンタイを結び終えた、
 葬儀屋は銀色の長い髪の上に乗っている、
 おかしな形の黒い帽子を傾けて、言った。


「これは執事君の見立てたタイ
 じゃないねぇ。
 シャツと上着に似合ってないよ..ヒッヒッ」


 シエルは顔を真っ赤にしながら、
 怒鳴った。


「先に言え!・・・・
 別にどれだっていいだろ」


「小生が選んであげるョ...」


 といいながら、洋服掛け箪笥にフンフンと
 鼻歌を歌いながら、近づく葬儀屋。


「勝手にしろ!」
 

 シエルは椅子に座り直し、
 また頬杖をついて拗ねたような顔をした。

 アンダーテイカーと呼ばれるその男は、
 箪笥を開け、ここには無いねぇ...
 と言いながら、箪笥の引き出しという
 引き出しを開けている。


(これだけ探してアレが見つからない 
 となると..
 あとは公爵か執事が..身につけて..)


「ああ、ここにタイが沢山あったよ...

 キミの執事君はたいそう几帳面だねぇ。
 とても綺麗にたたまれて、
 まるで宝石のように並んでいるよ」

 
 と言って、蒼いベルベットで出来た細い
 リボンタイを持ってきた。


「どうせまた独りじゃ
 上手く結べないんだろうから、
 やってあげるよ..
 ちょっと顔をあげてくれるかい?...」


 シエルは大人しく、顎をあげ、
 首を伸ばすと、葬儀屋の細長い爪が
 シエルの首元に差し込まれた。


「おや、首飾りをつけているんだねぇ..
 公爵..」


 と言いながら、するすると銀の鎖をたどり
 その先についている銀の鍵を手にとった。


「ふ~ん。綺麗な首輪だねぇ」


「知るか!セバスチャンが勝手に・・」


「それが、今度の新しい君の首輪って
 いうわけかい...

 つくづくキミは
 首輪に繋がれるのが大好きな
 番犬気質なんだね...」


「その名はもう捨てた」

「これちょっと貸してくれるかい?」

「ああ」


 とあっさり言って、首から外すシエル。


「何のためか聞かないのかい?」

「別に僕には関係ないし興味も無い。
 それに僕はお前に頼みごとをしたからな。

 借りだけつくるのは、好きじゃない」

「ヒッヒッヒ...伯爵の..いや公爵の
 そういう所が小生は大好きだよ...」


 綺麗にシエルのリボンを結んだ葬儀屋は
 その黒尽くめの長いローブのような服に
 手の先まで埋めて、
 袖をひらひらと揺らして言った。


「長居しちゃったね。
 じゃもう行くよ、公爵。
 また結果が分かったら、連絡するさ」