Love little and love long.
夢見は最悪だった。
眠りに就く前に考えていた作戦がそのまま夢になって表現されていた。
ヤキモチ、確かに夢の中の恋人は怒っていた気がする。だがオチが酷い。
激昂した彼女から聞かされた「離婚」の言葉で俺たちの結婚生活は破局した。
離婚、なんて恐ろしい言葉なんだろうか。
今まで築き上げてきたものがすべて壊れていく。
これが現実で、彼女の口から聞いてしまったら自分はどうなってしまうのだろう…そう思いながら夢から覚めた俺は後悔した。
目の前にはしゃくりあげて泣いている恋人。
瞳いっぱいに涙を溜めて自分を睨んでいる。
初めはどうして彼女が泣いているのかわかなかった。
そばに近寄って何があったのかと問おうと肩に触れようとした時、その手を振り払われた。
「…帝人君?」
「っ、や…だ……触ら、ないで」
大きく肩を震わせ、ヒックと嗚咽を漏らしながら彼女はそう言って俺を拒んだ。
その拒絶の言葉が鋭利な凶器となってズキッと胸に突き刺さるのを感じた。
どうして彼女が自分を拒んだのか、わからないまま俺はその感傷に独り善がるように冷たく彼女に迫った。
「どういうこと」
「、いたっ」
肩を力任せに引き寄せると顎を掴んで無理矢理上を向かせた。
笑顔を貼り付けて痛みに顔を歪めた彼女に微笑んで言う。
「今更、俺から離れるなんて、」
見下ろした彼女の瞳には自分に対する恐怖のようなものが見え隠れしていて、どうしてか、それに酷く怯える自分がいた。
「言わないよね?」
「いざ、や、さん」
俺への恐怖からか頬を涙で濡らしていく彼女が腹立たしかった。
その腹立たしい思いに邪魔されて気づくことができなかったんだ。
どうして彼女が泣いているか、なんて。
作品名:Love little and love long. 作家名:煉@切れ痔