Love little and love long.
「いや…やめて…」
泣いてやめてと懇願する彼女に欲情しないと言えば嘘だ。
けれどもう襲い。熱に浮かされたように荒い息を吐いた。
泣いて怯える彼女の顔に昂る興奮が抑えられない。
「、やだぁ…っ」
彼女が着ていた制服を躊躇なく手で引き裂いた。ビリビリと服が千切れる音と比例するように彼女の悲鳴も上がる。いやいやと手足を懸命に動かして自分の拘束から逃れようとしている。
流石に煩わしくなって片腕で足りる華奢な腕を押さたが抵抗は激しくなる一方だった。
それでも俺は止めなかった…──彼女を傷つける行為を。
「こんなの、いやぁっ…!」
…結局、俺は夢と現実との区別もつかずに自分がやらかしてしまったことに気がついたのは、彼女が此処を出て行った後だった。
落ち込んだ。それはもう深海よりも、海底よりも暗い水底に沈んだように深く。
手を伸ばしてみたが、もう全てが遅い。
自分の悪い癖だ。欲に忠実になりすぎて、気づけば全てを失っている。
今までもそんなことが度々あった。そう珍しいことでもなかったが、彼女は別だ。
失いたくない。
「そん…なに、ぼくが、きらい、なら」
だが時すでに遅かりしという言葉のようにもう全てが遅かった。
「離婚しましょう…。──さようなら」
ソファーの下に散らばっている服を掻き集めるとそのまま部屋から出て行ってしまった。
…まさかその裸同然の格好のまま出て行ったんじゃないだろうなと心配はしたけれど、問題はそこじゃない。珍しく自分が焦っていた。
恋人の口から発せられた「離婚」の言葉が、また胸の傷口を抉った。
そして冒頭に戻る。
作品名:Love little and love long. 作家名:煉@切れ痔