よくわからない15のお題_TFマイ伝
02) 君の側
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見上げるのが、悔しくない、なんて。
とても、不思議な感情。
……悔しかった。
置いていかれる、のが、悔しくて。
見ないふりして、強がって、わたしは違うんだって。
言い聞かせて、離れたのは、ほんの少しだけ、前のこと。
ほんの少し前まではちょっと低いくらいだった視線が、同じになって。
すぐに、見上げなきゃいけなくなった。
それが、悔しくて、哀しくて。
負けたくなくて。
わたし、男の子になりたかった。
だけど、今。
見上げるしかないひとを、わたしは、胸を張って、見上げていられる。
どうやっても勝てないくらい大きくて、でも、そんなのとは関係なくて。
見上げるのが、嬉しい、なんて。
思う日が来るとは思わなくて、それでも、やっぱり、嬉しくて。
ただ、見上げるだけじゃなくて。
もっと、もっと、近くで、傍で。
見ていたいと、思うから。
わたしは、わたしのままで、もっと、強くなる。
だから、どうか、もうしばらく。
あなたの傍で、あなたを、見上げていたいと思う。
わたしと言う、女の子、として、ね。
作品名:よくわからない15のお題_TFマイ伝 作家名:物体もじ。