5月は恋の季節
先日の飲み会のあと、私はあなたと一緒に帰りました。みなさんにすすめられたお酒で、あなたはすっかり出来上がった状態でしたので、かろうじて歩いているといったご様子でした。
しばらく行ったところであなたは倒れこんでしまい、私の力では運びきれないので、タクシーか、他の皆さんに連絡しようか考えていた時です。急にあなたがキスをしてきたのです。私はそれを拒みませんでした。
……そう、拒みませんでした。
その後の、キスも、セックスも、何一つ。むしろ積極的に受けいれました。
覚えてらっしゃらないのでしょう。そうでしょうとも。私はあなたが覚えていないと思ったからこそ、そうしたのです。
誤算だったのは、思ったよりもセックスはずっと疲れるものだということでした。
私はあなたより先に起きて、全てを片付けて、なかったことにするつもりだったのです。まあ童貞の浅はかな考えでは、シーツなどで行為が明るみになるとは思いいたれませんでしたが……。
本当は、あの飲み会で初めてあなたに会ったのではありません。
私は以前からあなたのことを知っていました。飲み会も、あなたが行くというので行きました。
フランシスさん。私は、あなたのことをお慕いしています。
あなたはお付き合いしている女性もいて、そういう嗜好がないことはわかっていましたし、本当に、一度きりの、夢みたいな思い出が欲しかったのです。
この愚かしい思いであなたを混乱させ、身勝手な嫉妬から申し訳ないことをいたしました。本当に、心からお詫びいたします。
申し訳ありませんでした。