5月は恋の季節
昨晩のドンチャン騒ぎのしっぽを掴んだフランシスは、ああーっと両手で顔を覆った。
その潰れた後はさっぱり覚えていないが、本田と寝たことだけはわかる。
なぜならば、目が覚めた時に入ったままだったので。
あれだけ飲んだんならたたないんじゃないのか!?と思ったが、フランシスの息子はできるヤツだったらしい。自分の下半身ながら恨めしい。
「んぅっ……」
小さなうめき声ともに、フランシスに背中を向ける形で寝ていた本田が寝返りを打った。
途端に固まってしまうが、目が覚めたわけではないらしい。すぐに寝息が聞こえる。
ほーっと詰めていた息を吐き出して、フランシスは本田の様子を確認した。
卑猥なキスマークがべたべたと肌に浮いている。
集中してついているのは反応が良かったところだろうか。中にはくっきりした歯形もあって、男相手に相当燃えた自分がわかり、またフランシスの脳みそをかき混ぜた。
「ああーーーっ、ごめん、本当にごめん!」
小声で謝りながら、フランシスはとにかくこの場から逃げ出すことに決めた。
これが女性相手であったらなら、相手を起こし、きちんと話をして、それなりの誠意ってやつを見せることができただろう。
とにかく混乱し切った頭のまま、フランシスはがばっとベッドを飛び降りると、散乱した服を身につけて、財布の中の有り金全部をベッドの上にばらまいた。
「ほんと、ごめん!!」
最後にもう一度、両手を合わせて拝むようにして謝って、フランシスは安っぽいラブホテルの一室から逃げ出した。