二人の気持ち
なんでだよ・・・どうしていきなり・・・榛名・・・・・・
秋丸はわけがわからなくなった、榛名が全力投球するコトはほとんどない・・・
何でそんなにタカヤのことを気にするんだよ
次にでた打者を三振させ試合は第一武蔵野が勝った。
試合が終わりグラウンド整備が始まる。
榛名はダウンするためにグラウンド整備を抜ける、秋丸もキャッチをするために抜けた。するといきなり榛名が走り出した。
「榛名!?」
演壇席に榛名が行った。
「ニャロ・・・・・・」
そのまま榛名が球場の外の駐車場まで走っていった
「ちょっと!」
秋丸は慌てて榛名を追っかけた
「どーしたの!」
どうやら榛名はタカヤを探していたみたいだった。榛名はタカヤのことをナマイキだといっていた、秋丸は榛名がタカヤの事を自慢げに話していたじゃないかって言った。そしたら榛名が拗ねたように口を尖らせてつぶやく
「・・・・・・そりゃ捕手としてはいいんだけどさ」
その言葉に秋丸の胸は誰かに握られているような息苦しさを感じた
「あいつ人のことサイテー呼ばわりすっから・・・・・・」
「はあ?そらまたなんで?」
「知らねェ」
榛名はそっぽを向いてしまった。
話が終わってダウンをするために球場の中に戻る間秋丸の頭の中にはタカヤに対する感謝の気持ちとそれに加えて反対の感情があった・・・
家でも学校でも誰も近づけなかった榛名の一番近くに居て・・・
榛名の球を受けて榛名を少しづつ元に戻らせた存在・・・・・・うらやましいよ。
どうしてタカヤなんだ・・・なんで俺じゃダメだったんだ?
そんなことが頭を埋め尽くしていた・・・榛名には悟られないようにはしたけどさ―――・・・
誰かが秋丸の髪に触った
「・・・?」
秋丸が顔をあげると榛名が俺を見ていた。
「あ・・・秋丸、起こしちまったか?」
あぁ・・・榛名か・・・なーんだ・・・・・・
クァァと秋丸は小さくあくびをしてまた布団の中にもぐりこんだ
・・・布団の中? それに俺メガネしてない!!
秋丸がおろおろしているのに気づいた榛名が秋丸にめがねを差し出す。
「はいこれ」
「あ!ありがと・・・て、そーじゃなくて!!」
メガネを受け取った秋丸は豪快にツッコミを入れた
「何で俺布団で寝てんの?」
しかも榛名と一緒に!
「だって気がついたら俺はベットで寝てるし、秋丸はベットに突っ伏して眠ってるし風邪引くといけねェから布団に入れたんだよ」
文句あるのかとでも言いたいような顔で榛名が言ってきた。
こいつって馬鹿?ひとつのベットに二人も寝たら狭いでしょうが。
そう考えつつ秋丸はメガネをかけた
「あーわかった、で、榛名はもう大丈夫なの?」
「へ?何が??」
「お前体育の途中に倒れてたんだよ」
榛名は驚いたような顔をした。
「え・・・?マジで??」
マジだよ・・・どんだけボケてんだよまったく・・・
「まぁそのおかげで秋丸とサボれてんだしいっか!」
なんとまぁノーテンキなコトを・・・
「・・・今何時?」
秋丸は榛名に尋ねた
「今?え~っと・・・三時半」
「えっ?!もう授業終わってるじゃん!!」
「そーだなァ~」
秋丸が叫ぶと榛名が笑った。
いきなり腕を引っ張られた、抵抗できるわけもなく秋丸はベットに倒れこみ榛名が隣に寝転び抱きついてくる
「あー秋丸あったけぇ」
「なっ・・・!榛名?!」
「授業も終わっちゃってるしもうチョイ寝てこーぜ」
布団をかぶり寝る準備万端の榛名が言った・・・
自己中な奴・・・・・・
秋丸は何も言わずに秋丸を抱きしめている手を解いて榛名に背を向ける形で布団にもぐった。
はーぁ。俺・・・何やってんだか・・・・・・
「なァ秋丸・・・」
不意に榛名が後ろから秋丸を抱きしめ小さな声で声をかけてきた
「何?」
「お前さァ、俺のコトどう思ってンの?」
「・・・・・・・・・はァ?」
「・・・いやさ、最近の秋丸俺に冷てぇじゃん? 俺なんかしたかなって思ってな」
榛名がさっきよりキツク秋丸を抱きしめた
「ちょっ・・・榛名?手ェ離して、軽くキモイよ?!」
つい恥ずかしさを隠すためにキツイことを言ってしまった
・・・こんなコトが言いたいワケじゃないのにっ!
「ホントにそう思ってンの?」
「へ?」
「秋丸にはわかんねェんだな・・・」
榛名が小さくため息をついた秋丸には榛名の言いたい事が分からなかった。
いや、分かろうともしていなかった・・・・・・
「お前さー俺のこと嫌い?」
唐突だった、急に榛名が真剣な顔をして秋丸を見た。
試合中、球を投げる事にだけ集中している時の真剣な顔・・・目が離せない・・・・・・
「どういう・・・意味・・・?」
かろうじて返事を返した秋丸の髪に榛名が触れる。
優しく、愛しそうに髪を触っていた榛名は秋丸の目をジッと見るなり言い放った。
「・・・分かってるくせにな」
そう言って榛名はさびしそうに笑い秋丸から離れようと立ち上がった。
だけど秋丸は無意識のうちに体を起こし榛名の服の裾を掴んでいた。
「秋丸?」
「・・・・・・」
このまま離していいのか? 何も言わなくていいのかな・・・?
「秋丸、どうした?」
「俺・・・もうワケ分かんないよ榛名・・・・・・」
秋丸の口から出た声はか細い涙声だった、今にも泣きそうだった。
頭の中がぐちゃぐちゃでいろんな思いが頭を埋め尽くしている。
「自分で自分が分かんないよ、榛名は変な事聞くし。」
今までたまってたドロドロした思いがが溢れてくる、
「榛名は口を開けばタカヤタカヤって言うし、何でそんなにタカヤの話ばっかすんの?
もううんざりだよ。タカヤの話なんて俺は聞きたくないのにっ!」
なんで・・・なんでこんなことっ・・・・・・いまさら言っても仕方ないよ。
「俺はタカヤが嫌いだ!お前がどんなにタカヤがスキでも俺には関係ないね、俺は―――――」
秋丸の言葉の続きは榛名によって止められた。
抱きしめられている・・・強く抱きしめられた
「はる―――・・・」
「なーんだ、そーゆうことかよ」
榛名が秋丸の耳元で囁いた、息がかかりそうで思わず反応してしまった。
「なっ・・・何がだよ」
「だーかーらー、つまりはお前はタカヤに嫉妬していたワケだ」
・・・・・・・・・は?
「なるほどなーだから最近機嫌悪かったんだな~」
「何勝手な事いってンノッ?!」
慌てて言ったためか声が裏返ってしまった。
「え?ちげぇのか?秋丸は俺のことスキなんだろ?だからタカヤに嫉妬して・・・」
「んなあぁぁぁあぁ!!」
榛名の言ってる事を理解した秋丸は奇声を上げた
廊下にも響くだろうと思われるような大声で。
え?そーなの??俺はこのアホのことがスキだったワケ?!
でもなんで?「うっせぇなぁ・・・」
榛名が耳を押さえて言う。
「ごめ・・・あの俺っ・・・・・・」
うまく舌が回らない
「まァ無理はねぇよなぁ、自分がまさかオトコをスキになっちまったって気がついたんだしな」
榛名が笑って言った
オトコ・・・男・・・オト・・・コ・・・・・・
つまりは同性・・・・・・
「@Δ♯※□◎*☆??!」
「やっぱり最初はパニクるよな。俺もそうだったし~」
「はァ!?それって」
俺もってまさか・・・
「ん?俺もお前がスキだってことだぜ?俺らはホモってことだな」