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物体もじ。
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ロックマンシリーズ詰め合わせ

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12/罪 (流星のロックマン・ツカサ→スバル)



 どうか、どうか、君だけはと。


 痛いほどに、祈らずにはいられない。










 すべてが終わった―――少なくとも終わると思われたとき、自分はそっとその場を離れた。


 遠い宇宙へと旅立った少年を、呼び戻すために集められた、友人。その中に自分が混ざりこむことには、最初から、酷い違和感を覚えていた。

 彼が心を閉ざしきっていたときからそれに触れるよう努め、ついには彼の信頼と友情を勝ち得た人たち。

 気丈なクラス委員長も、彼女の取り巻きの少年たちも、心に孤独を抱えていた歌い手も、彼らは皆、正しく、星河スバルの友人であり、ブラザーであった。



 けれど、自分は?



 そう、確かに、ブラザーと結ぼうと言われた。そして、自分もそれを願っていた。それは間違いのない事実。

 けれど同時に、そうやって心の奥深いところから、他の人間には想像もつかないような勇気と共に手を差し伸べてくれたその人を、自分は、あまりにも手ひどく裏切ったのだ。

 ようやく他人に再び心を許し始めた彼を痛めつけ、もう一度、孤独の陥穽へと落とし込むように、その手を振り払った。


 誰もいない、道もない宇宙で迷子になった彼を導くために、照射された幾筋もの光。その中には、自分のトランサーから……自分から発されたものも、混ざってはいたけれど……

 心から彼を思い、思い続けていた人たちの中に在って、自分はなおも、思っていた。



 届くはずがない。



 いいや。いっそ届かなければいいとすら、思っていたのかもしれない。

 彼を裏切り、彼を傷つけた自分からの光が、彼に届くはずなど、ない。宇宙には道しるべとてないのだ。自分の光はきっと、他の人たちの光に置いていかれ、無限の宇宙を無為に彷徨う放浪者となるに違いないのだと。

 それでこそ、自分に相応しいと。思ったのだ。



(スバルくん。君は、帰ってこなくちゃいけない)



 下がった位置から、空を見上げ続ける人たちを眺めて、そう、届かない言葉を、送る。


 きっと彼は帰ってくる。だって、彼には、こんなにも、待っている人がいる。

 その中に、自分はいないけれど。いてはならない自分は、いないけれど。


 待っている。


 ただただ無事を祈る人たちと違って、彼と喜びを分かち合おうという人たちと違って、自分と彼は、きっと心の痛みに目を逸らしあい、すれ違うだけのはずだけれど。

 それでも待っている。無事であれと祈って、待っている。

 彼が帰ってくることを。

 そして、その目が、やがて自分を、射抜くことを。


 あのときの―――自分が彼を裏切った、ことの顛末を、彼と自分以外の、誰も知らない。ふたりの交流は余人を交えない形で結ばれ、そして、何ものも介在しない場所で破綻し、ふたりだけで、終わりを告げた。

 彼のブラザーたちの反応を見れば、彼が自分について他人に何も言っていないことはわかる。それが一体どういう感情の故なのかは、よくわからないけれど。


 誰も、自分が犯した、許されざる罪を、知らないのだ。



(だから、スバルくん。どうか、帰ってきて)



 そして、どうか。



(君だけは、許さないでいて。僕のことを)



 そうすれば、きっと……やり直せるはずだから。「自分たち」は。








 痛いほどの祈りを込めて。


 双葉ツカサは、そっと、両手を組んだ。