永遠に失われしもの 第11章
・・苦しい・・痛・・い・・
頭が割れそうだ・・
死神派遣課の奥の課長室からは、
まるでそこが臨時の拷問室と
化したような、シエルの呻き声や叫び声が
時折聞こえてくる。
そしてシエルは。
手と足枷をはめられているのにも
かかわらず、床の上で転げまわり、
苦しんでいた。
「さぁ、聞こえますか?
呼びなさい、
セバスチャン・ミカエリスを!
来い!
と一言だけ言えば済むのです」
そばで、冷ややかな目をして、
様子を観察しているウィルは、
もう何度も、同じ言葉を繰り返している。
「まァ~ったく、頑固なガキねェ~~!
待ってらんないわ!
今すぐ刻んでやるからッ」
先程まで、暇そうに爪をいじっていた
グレルはついに、チェーンソーで、
シエルを切りつけようとするが、
そのグレルのわき腹を、ウィルは、
自分のデスサイズの柄で思いっきり、
突いた。
「やめなさい!と言ったはずですっ」
「ゴメンなさァ~い・・・
もうつい、イライラしちゃッてさ~
アノ日が近いのかしら・・・」
壁まで吹っ飛んだグレルは、
わき腹を痛そうにさすりながら、
立ち上がる。
「そんな日ないでしょう!貴方にっ・・・
ふむ、確かに・・
もうかなり薬は回ってるはずですが・・
・・・追加の薬液を!」
部下に指示して、さらに何かの液体が
シエルに注射された。
「何なの?それ」
グレルは注射器にある
透明な液体を見つめている。
「一種の自白剤のようなものです。
強い催眠効果と苦痛をもたらし、
過度に投与すれば、
精神破壊を起こします。」
「へー悪魔にもきくんだ・・・」
「みたいですね」
「って知らなかったの?」
「元は死神拷問用です」
「へ~・・・ということは・・・ゥフ・・
セバスちゃんにも?
フフフ・・・ウィルにも~~??」
「馬鹿なこと考えないでくださいッ!
貴方では貸し出しませんよ、どのみち。
第一種危険薬物ですからね、
使用許可の手続きは非常に困難です」
「ちッ・・
あんなことさせて、こんな事して・・
グフッ・・・」
さらにシエルの叫び声とうめき声が一段と
大きく部屋に響き始めた。
作品名:永遠に失われしもの 第11章 作家名:くろ