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こらぼでほすと 漢方薬2

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 この騒ぎの原因は、刹那だから頭を下げるしかない。怒鳴られても仕方がないところだが、マードックのほうは、からから笑って手を横に振っている。
「気にしなくていいさ。あの不具合は、うちのキラかやったのが原因だ。どっちもどっちだぜ? ニール。」
「そう言ってもらえると、ほっとしますよ。」
「おまえこそ、いいのか? 今、治療中って聞いてたぞ? 」
「あーなんか、治療が効いてるらしくて調子はいいです。以前に戻ったって感じです。」
「それならいいけどよ。ちびが戻ってきたら、あんま叱ってやんなよ? あいつも、必死で戻ってきたんだからさ。」
「わかってますけど、拳骨のひとつやふたつは落とします。」
「あははは・・・それくらいはやってくれ。」
 ラボと別荘は繋がっているので、別送に滞在すると、マードックたちとも顔を合わせることになるから、知り合いみたいなものだ。ニールは、ラボの仕事は一切させない、というのが、キラから通達されているので、今回は珍しいことだと、マードックも思っている。だが、見事な差配はしていた。ハイネも、そういうことに長けているが、ニールも上手い。連絡事項の通達や指示だけでなく、食料関係や仮眠の割り振りなんてものも、さくさくとこなしていたからだ。
「さすが、マイスターってとこか? 」
「元ですけどね、俺は。」
「ハイネより上手いんじゃないか? 」
「必死でしたよ? 何年ぶりかだし・・・俺は、命令するよりされるほうの仕事でしたから。・・・庭のほうが片付いたら、連絡ください。そこから、どうするか、また指示します。」
「おう、そうしてくれ。朝には終ってる。」
 そこで、挨拶して引き返した。庭のほうは、それでいいが、MSを発進させる事態にならないなら、休んでもらうことになる。
 管制室は、まだ忙しい。最後の足掻きとばかりに、シンとレイが端末をパカパカ叩いている。
「夜食だぞ。食べられるか? 」
「無理、でも食いたい。ねーさん、あーんして。」
 疲れているシンは、とても我侭だ。はいはい、と、ニールがおにぎりを手にしてシンの目の前に差し出す。がぶっと噛んで、もぐもぐしているうちに、となりのレイにも違うおにぎりを差し出す。え? という顔はしたが、レイもかぶりついた。腹が減っているのは否めない。
「お茶。」
「はいよ。」
 がふがふと、一個を食いきると、シンはお茶を所望する。それも、ペットボトルを口元に寄せてやる。レイにも同じようにする。ディスプレイの邪魔にならないように差し出しているが、んぐんぐと飲んで、ぶうーと息を吐いている。
「もっと。」
「はいはい。」
 おにぎりは小さめの三角だから、二口か三口で食べきれるサイズだ。それを、ふたりに食べさせて。もういらない、と、言うところまで食べさせた。
「おにぎりうめぇー。」
 ごくごくと、自分で持ったペットボトルで、それを流し込んで、シンは笑っている。
「すいません、ママ。もう少しですから。」
 レイも、ごくごくと飲んで、ペットボトルを置く。ごめんな、と、謝ったら、「謝るな。」 と、シンに叱られたので、ニールも、もう言わない。緊急事態なのだから、刹那が悪いわけではないと、レイも冷静に言ってくれた。
「ねーさん、鷹さんからの到着の報告が入ったら、休憩して。」
「いや、いいよ。おまえらに最後まで付き合う。どうせ、このままだと寝られないしな。」
「じゃあ、ママも、少しは召し上がってください。食べてませんよね? 」
「そうだ。食わないと、後で俺が口に詰めるぞ。」
 パネルを睨んだままで、ふたりして注意するので、はいはい、と、ひとつ口にした。まだ食欲が湧かないので、それも、あまり食べたくはないのだが、ここで、ひとつでも食べておかないと、後から何をされるかわかったもんではないから、素直に従う。ペットボトルのお茶で流し込むようにして、ひとつを平らげた。逐一、報告されているチェック項目は、かなり減っている。そろそろ夜が明けそうな時間になってきた。外の景色を映しているパネルは、ほんのりと空が白んでいくところだ。外部の作業も、ほぼ終ったのか、重機も動きを止めている。

 夜が白々と明けていく頃、十時間にも及ぶ作業は終了した。宇宙からの全クリアーの報告が、最後だった。
「シン、レイ、お疲れ様。」
 すでに、整備スタッフには当直を残して帰宅してくれるように指示を出した。シンとレイも、目の下に隈を作った状態で、残っていたおにぎりにがっついている。キラからの最終確認の報告が降りてきて、ようやく全部が終った。鷹からの到着の報告は、まだだが、まもなく入るだろう。
「おまえさんたち、とりあえず横になって休め。何かあったら叩き起こすから、そのつもりでな。」
「はあ? なに、ぬかしてんだか、うちのバカ姉はっっ。それなら、ねーさんが先だろ? 」
「俺、実務的には役に立たないから、とりあえず留守番する。お前さんたちが起きてくるまでぐらいなら、大丈夫だからさ。一度、寝て、頭をクリアーにしてこい。そのほうが、後で何かあった時に安全だ。」
 実際、MSが出張るように事態になったら、ニールは役に立たない。今の間に、身体を休めろ、というのは、至極最もなことだ。レイは心配そうにするが、大丈夫、と、それらも追い出した。

・・・ま、これで何かってことはないだろうけどな・・・・

 『吉祥富貴』総出の作業は、どうにか終った。完全に改竄はされたから、エクシアは、どこにも存在しないことになっている。ほっと、ニールも息をつく。そこへ、鷹からの報告だ。無事に、ファクトリーへ到着したらしい。
「お疲れ様です。」
「しばらく、こちらで、せつニャンの相手をしておこうと思うんだが、ラボのほうは大丈夫か? 」
 誰にも懐かない黒子猫なので、ファクトリーの人間も困るだろうと、鷹は考えた。多少でも、気心の知れている鷹なら、ある程度は扱えるからだ。
「問題はありません。今、シンとレイには仮眠させてますから、午後くらいから、あいつらに交代します。」
「え? ママニャンひとりなのか? 」
「留守番だから、ひとりで十分です。作業は、全てクリアーしました。後は、エターナルの降下ですが、当初の予定通り、オーヴですから、こちらは何もありません。」
 報告だから、丁寧に告げている。それを耳にして、鷹はいい声で囁いてくる。
「寂しくて泣いてないか? 俺の白猫ちゃん。」
 なぜ、うちのじじいーずは、こうも元気なんだろうと、ニールは呆れて笑い出す。鷹だって、ほぼ徹夜で、重労働もしているのに、疲れた気配は微塵もないのだ。
「あんた、元気ですね? 鷹さん。」
「元気ですよーお兄さんは。ママニャンより元気だから、これからとんぼ返りして、俺の白猫ちゃんを、身体で慰めてあげることも可能だ。」
「あーマグロな白猫でよかったら? 」
「マグロ? そのうち、にゃんにゃん喚いて煩くなるぞ? 白猫ちゃんが、乱れるのは、いいなあ。お兄さん、それだけで頑張れそうだ。」
「うるせぇーよっっ、この変態っっ。刹那に、なんかあったら叩き殺すぞっっ。」
作品名:こらぼでほすと 漢方薬2 作家名:篠義