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こらぼでほすと 漢方薬2

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「おい、タバコ。」 と、言ったものの、いつも買い置きしてくれている女房は留守だ。ちっっと舌打ちして、買いに行くことにする。本日の予定をカレンダーで確認したら、四時半に檀家のお勤めがひとつ入っている。
「四時半? また中途半端な時間に。」
 大概、お勤めは、定期的に巡回するわけだが、時間は、その時の相手の都合によって変わる。大抵は、午前中か、土日が多いのだが、四時半なんて時間は、面倒な時間だ。戻ってすぐに、店に出勤することになる。いつもなら、予約がなければ、休むところだが、MS組が、昨日からの騒ぎで留守をしていて休めない。
「黒袈裟。」
 いつものように、そう叫ぶが、誰も反応はしない。サルは外にいるが、サルしか寺には人はいないのだ。窓から、サルに声を飛ばしても、「俺は知らねぇー。いつものとこにあんだろ? 」 というつれない返事が返ってくる。以前は、自分で準備していたから、保管場所も判っているが、先日までは女房が準備して、きちんと居間まで運んでくれていた。なんていうか、万事がこの調子だ。なんでもかんでも、「おい。」 で、やってくれる女房なんてものを貰うと、いないと不便極まりない。
「サル、ちょっと出てくるぞ。」
「おう、昼はどーする? 」
「なんでもいい。」
「面倒だから、出前取ろうぜ? さんぞー。」
「なら、俺はカツ丼だ。後は好きにしろ。」
「オッケー。注文しとくから、昼までに帰れよー。」
「そこのコンビニまで行くだけだ。」
「じゃあ、俺も行く。それで、コンビニの弁当買ってこようぜ。」
 洗濯を干し終えた悟空が、さっさと戸締りを開始する。三食プラスおやつを作っている女房というのは偉大だ、と、こういう時に、しみじみと考える。いないと、途端に以前の状態に戻ってしまうのたが、それが、とても面倒になっているのだ。
「ママ、早く帰ってこないかなあー。俺、出前とかコンビニは飽きてきた。」
「イノブタに連絡して、さっさと帰らせろって言っとけ。」
 山門を抜けて、親子ふたりで外へ出る。今回は、本当にフォローがないので、悟空も、外食にうんざりの状態だ。店で、晩飯にありつけていなかったら、別荘か歌姫の本宅へメシを漁りに行くだろう。
「でもな、さんぞー。俺、嫌な予感がするぞ。」
「なんだ? 」
「トダカさんが療養させるとかなんとか言って、ママ帰らせてくれないんじゃね? 」
 有り得そうで笑えない。トダカのことだから、里で療養とか言うのは、言いそうだ。もちろん、女房は自分が居ない間のことも考えて、冷凍庫にチンすれば食べられるものは、たくさん作って入れてくれている。食事は、どうにかなるのだが、日常生活が不便なのは、悟空も感じているらしい。痒いところに手が届く方式の世話を一度でも受けてしまうと、以前のように動くのも面倒になるものだ。
「サル、おまえ、別荘に行って泣き言垂れて来い。そうすりゃ、うちのも急いで帰ってくる。」
「やだよ。それで、ママの具合が悪くなったら、どーすんだ? だいたい、別荘には、刹那もいるんだぜ? 絶対に帰ってこない。」
 こちらには、報告が回っていないので、ニールがダウンしている情報も聞いていないし、刹那がオーヴのファクトリーに遠征しているのも知らない。
「ちびも連れて帰ってくればいい。あいつ、ママからは離れないからな。」
 刹那は、ニールから離れることはない。戻って来ると、ひっつき虫状態で、親猫に張り付いている。予定では二週間と言っていたが、十日は経過している。そろそろ戻れる状態だと、三蔵も悟空も誤解していた。

 それが、判明するのは、店に出勤してトダカから報告された瞬間だ。どちらも、うんざりという顔をした。
「悟空くん、うちに帰らせるつもりだから、寂しかったら、うちに来ればいい。」
「あーそうしようかなあ。刹那がいないんなら、ママの部屋に寝られるもんな。」
 わぁー露骨な裏切りぃーと、悟浄が、三蔵を指差して笑うので、ハリセンで殴りつけたのは言うまでもない。タバコ吸いすぎですよ、と、八戒に指摘されて、いつもより吸っているから在庫がなかったのにも気付いた。とことん、女房に依存していることを、坊主も自覚せざる得ない。


 やっちまったぁーと気付いたのは、医療ルームの天井を見た瞬間だ。どうやら、電池切れを起こしたらしい。あの後のことを問おうとしたが、看護士は知らないと言う。起きようとしたら、叱られた。
 しばらくして、沙・猪家夫夫が現れて、散々に叱られる羽目になった。
「漢方薬というのは、即効性ではないと説明しましたね? ニール。」
 ものすごーく爽やかだ。爽やかな絵に描いたような笑顔だ。爽やかだが、背後のオーラが燃えていそうな気配だ。八戒の後ろから、悟浄が、両方の人差し指を突き上げて、鬼のような格好をしているので、黙って謝る。
「・・すいません、八戒さん。でも、身体が軽くて、結構、動けたので助かりました。あの、あの後は? 」
「無事、改竄は終了しました。刹那くんは、まだオーヴのファクトリーです。修理に時間がかかるとのことですよ。・・・そんなことより、わかってるんですか? 」
「はい、ええ・・・すいません。」
「下手をしたら、せっかくのクスリの効力を弱めてしまったかもしれません。十時間フルタイム参戦するなんて、普通、やりませんよ? 」
「俺も、普段ならやりません。緊急だったので。」
「緊急でも、やりすぎです。予定より時間がかかることは覚悟してください。」
「・・はい・・・」
「それから、お里のお父さんも、とてもご立腹です。ちゃんと謝ってくださいね。心配されてましたから。」
「・・・はい・・・」
「あれから、三日経過してます。三日も意識不明の昏睡ですよ? どういうことかわかりますね? 」
「・・はい・・・」
 笑顔なのが、ものすごーく怖い。普段、温厚な八戒に、ねちねちと叱られるのには、辟易した。ニールとしては、できることをやっただけなので、あまり罪悪感というのはないのだが、最後のトドメには、ちょっと顔色を曇らせた。
「刹那君に、このことは教えます。戻ってきたら、監視は厳しいと思います。」
「・・あ・・それは・・八戒さん。」
「たぶん、すでにキラくんが教えていると思います。今回は、キラくんも怒ってましたんで。」
「げっっ。」
「何が、『げっっ』ですか? 自業自得ですよね、ニール? 」
「・・うっ・・はい・・・」
 ラボにフルタイム参戦してダウンしたなんて、刹那が聞いたら、確実に心配と怒りで大変なことになる。しばらくは、何をするにもついてくるだろう。ラボの出入り禁止を破っているから、そちらでも、キラから叱られるらしい。とほほほ・・・な状態で、ニールは寝返りを打つ。もう聞きたくないという意思を現したら、逆側に回り込んで八戒が、顔を覗きこむ。ニコーッと微笑んで、ニールの頬に手を添える。ちょーこえーーーーっと、ニールは内心で叫んだ。
「お小言は、これくらいにしておきましょう。・・・まだ、軽い発熱はしたままなので、しばらくは療養です。・・・お疲れ様でした、ニール。」
作品名:こらぼでほすと 漢方薬2 作家名:篠義