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こらぼでほすと 漢方薬2

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「・・いえ・・・ご迷惑をおかけしました。」
「あなたが意識を戻していたのは、天の采配でした。人員不足で、かなり助かったと、シンとレイも言ってます。」
「昔取った杵柄ってやつで・・・ええ、まあ。」
「たぶん、ラボの出入り禁止はきつくなると思いますけどね。」
「・・・忘れてましたよ、それ。」
 ニールも忘れていた。アレハレルヤのことで、ニールと刹那はラボへの出入り禁止を申し渡されていたのだ。誰かが一緒なら、ラボに入ることはできるが、それも滅多なことでは許可が出ない。主に、刹那の到着や発進の時ぐらいだった。それを、マルッと無視していたのだ。
「そうでしょうね? セキュリティー最高レベルの通信を担当していたのに、それすらスルーしてたんですものね。」
「・・・それどころじゃなかったし・・・俺が調べても、どうにもできません。それは理解してます。」
 そのことに意識が向かなかった。ニールも、それについては苦笑する。以前なら、たぶん、作業の合間に調べていただろう。それぐらいのことは、朝飯前だ。ただ、自分が民間人なのだ、と、自覚してから、そういう焦りとは無縁になっていた。調べて、刹那なりティエリアなりに教えたところで、準備が整うまでは、何も出来ないのは同じことだし、何より、自分は、それに参加できないのだ。それに、自分が言い出せば、刹那やティエリアも奪回を急ぐだろう。そういう焦らせることは危険だと、トダカにも戒められている。だから、そちらは、無意識にスルーしていたらしい。
 八戒のほうも、それを聞いて、普通に微笑んだ。それが自覚できているなら、問題はない。
「それなら、僕は構いません。・・・明日には別荘のほうへ移します。」
「お願いします。」
「里のお父さんが、軟禁する気満々なので、しばらくは寺へ帰れませんよ。」
「そうでしょうね。俺、トダカさんにも叱られる。・・・あっ、八戒さん、三蔵さんのタバコ、もう切れてるんじゃないですか?」
「さあ、どうですか。そういや、吸いまくってました。」
「やっぱり。少しは、あれ、減らせないんですかね? 」
「無理じゃないですか。ヘビーですから。」
「身体にはよくないんで、できれば減らしたいとこなんですけど。」
「僕も、そう思ってますけど、うちの宿六も減らしませんよ。肺がんにでもなれば、やめると思います。」
 なんか、矛先がこっちに向いてきたぞ、と、悟浄は医療ルームから、そそくさと逃亡する。それを横目に見送って、主夫ふたりは笑い声を上げた。
「クスリの効果が行き渡れば、少しは楽になるはずです。まあ、一月はかかるので、秋ぐらいでしょう。」
「・・・でも、本当に身体は楽になってましたよ? そうでなかったら、あの長丁場の途中で、ダウンしてたはずだ。」
「それは、火事場のバカ力プラス薬の効果というところでしょう。とりあえず、横になっててください。さすがに、二、三日は発熱は残ります。」
 意識が戻れば、後は回復させるだけだ。慌てる必要はない。ニールのほうも、目を閉じて身体の力を抜く。 確かに効果はあった様子だ。いつもなら、電池切れの後は、意識が戻っても、ぼんやりしていることが多い。それが、つらつらと会話しているのだから、回復力は増しているのだろう、と、八戒も考えた。



 オーヴのファクトリーでは、キラと刹那を中心にして、エクシアの完全オーバーホールを進めていた。単純な修理や整備は終ったものの、問題点は右腕だ。オーヴのMS理論と、ソレスタルビーイングのMS理論は完全に乖離したもので、やはり、右腕を作り直して接続させても、どこかで不具合が生じることが、はっきりした。
「まあ、つまり、このまま、この右腕をつけている限り、同じことが起こるってことなんだ。」
「右腕を外しておくほうが得策か? キラ。」
「でも、そうなると実際に動き回る時に左腕だけしか使えないだろ? それって不自由じゃない? 」
「一番手っ取り早いのは、組織に戻って付け直して調整してもらうことだ、刹那。オーヴやプラントとは、MSの構築理論そのものが違うから、ここでは無理だ。」
 一番簡単なのは、エターナルが宇宙に上がる時に、エクシアを載せて組織へ送り届けることだ。それで、修理してもらえば、すぐに直る、ということを、アスランが説明するのだが、刹那は頑として首を縦には降らない。それをやったら、太陽炉を取り上げられることは判っているからだ。キラ経由のティエリアからの情報では、一機目の新型がロールアウトするという。その新型には、旧機体の太陽炉を換装させるから、旧機体となる刹那のエクシアも、その対象となる。
「まだ、世界の歪みを全て確認したわけではない。今、組織に戻ったら、エクシアは降りて来られなくなる。」
「それもわかるけど・・・でも、これで世界を廻るのは危険だよ? 刹那。」
「キラ、それでも、俺は行きたい。右腕がネックなら取り外したままで構わない。整備は終了した。発進してもいいか? 」
 まだ、人革連の西部を残しているし、そこからAEUへの境界あたりを探索しておきたい。ユニオンの北部や北極、南極と行ってないところが、たくさん残っているのだ。それに、一機目のロールアウトということは、後三機のロールアウトまでは時間がある。その間を使いたい、と、刹那が言うと、キラのほうも、わかった、と、頷いた。
「エクシアは、次に宇宙に上がるまでラボで、お休みさせてあげよう。エールストライクか、フリーダムを貸してあげるから、それで廻っておいで、刹那。あれなら、隠蔽皮膜は使えるし、深海まで潜れるから、隠密行動には最適だよ? 」
「エクシアは連れて行けないのか? 」
「それは無理だね。今まで、三年間、僕らのほうで整備しているけど、完璧じゃない。大気圏離脱は、かなり機体に無理をさせる行為だ。それを考慮するなら、今は休憩させてあげるべきだ。」
「そうか。」
「それとね、しばらくは、ママのところへ帰らないとダメ。ママ、刹那の騒ぎで、ラボに借り出されて無理したから、今、ダウンしてるんだ。この看病は、刹那がするべきじゃないかな? 」
「なに? 」
 キラの爆弾発言で、刹那の顔色が変わる。普段、無口無表情な黒子猫が、大袈裟な声をあげる。
「そりゃそうだろ? 僕らは、宇宙にいたし、ラボも人が少ない時だったんだ。刹那が辿り着いた時点から、ここで修理を始めるまで、ずーっと連絡係とかやってくれてたんだもん。ダウンぐらいするよ。」
「それで? 」
 刹那のほうも、オーヴに辿り着いてから、エクシアの修理のほうに意識が傾いていて、親猫のことを忘れていた。確かに、そうなのだ。普段、ラボなんかにいるはずがない親猫が、ずっとラボから指示を出していた。半日以上、ラボで働いていれば、そりゃダウンもするだろう。
「ようやく、意識は戻ったって。さっき、八戒さんからメールが来た。でも、まだ熱出してるから、しばらく安静なんだって。ママを放置するのはよくないでしょ? 刹那。ママのこと、看病してあげようねっっ。」
「ああ。」
作品名:こらぼでほすと 漢方薬2 作家名:篠義