二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

永遠に失われしもの 第13章

INDEX|10ページ/11ページ|

次のページ前のページ
 


 葬儀屋が、ベランダへの窓を閉めようとしていたときに、部屋のドアがノックされた。


「夜分遅くにすみません。
 もうエット-レ卿の葬儀は終わったので、
 明朝にはもう母国へ発たれるかと思い、
 御邪魔させていただきました」


 ラウルは帽子を取り、すまなそうに、
 深々とお辞儀をしている。



「ヒヒ、心配しなくても、
 小生はちょっとここで営業していくから、
 まだ帰らないよ~...」


 葬儀屋は、へらへらと身体を揺らしながら
 笑っている。

 
「そうですか。実は・・」

「聞きたいことがあるんだろう?」

「ええ、あと、お頼みしたいことも・・」

「何だい?..」

「あの、あなたが仰られていた、
 卿から、なくなったものとは・・」

「それは、自分で調べないとねぇ~
 ヒントをあげよう...
 卿の、身に着けていたものさ...
 後生大事にね。
 あと、小生に尋問のために、
 令状をとろうとしたって、無駄だよ...」

「それは承知しています。ですから、
 直接こうして出向いているのです」

 
 ラウル刑事は、エット-レ卿殺害事件の
 関係者全ての情報を、
 彼のコネであり、情報源でもある、
 ディーデリッヒ大佐に求めていたが、
 この葬儀屋についての情報は全て、
 提供を拒否されていたのだ。


(ディーデリッヒ大佐から、
 小生のことを君が尋ねているのは
 もう聞いているのさ...

 彼と小生は、
 ヴィンセント・ファントムハイブ伯爵
 由縁の知り合いだからねぇ...)



「それから・・これは差し出がましい
 お願いなのですが・・

 明日、教皇に謁見を
 お願いできませんでしょうか? 
 理由は葬儀後の報告でも
 何でもつけて頂いて・・・

 あなたなら、葬儀をご依頼された方ゆえ、
 教皇もお礼を言わなければならない立場、
 きっと、すんなり許可されるでしょう」


「ふぅん、
 それで君が一緒についてくるという
 わけかい~?
 随分とまた、君は、
 法王庁に嫌われているんだねぇ..」


 ラウル刑事は栗毛色の髪を掻きながら、
 苦笑した。


「まぁ..いいさ」


 葬儀屋は黒く長い爪同士を弄びながら、
 執事と伯爵が本当に戻ってくるかどうかを
 考えている。


 一方、首尾よく葬儀屋の協力を得られた
 ラウル刑事は、丁寧に葬儀屋に礼を言い、
 ホテルを後にした。