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永遠に失われしもの 第13章

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 疲労を深めるラウル刑事に、
 濃いコーヒーが差し出される。

 火災の混乱の収拾や、重要書類の移動で
 もう夜十時を過ぎたというのに、
 ローマ署内では幾多の刑事や、警官が
 帰宅もせずに、働き続けていた。


 部下からの報告によれば、予想通り、
 地下の留置場から、
 銀製の懐中時計は見つからなかった。

 留置場収容者の所有物保管リストも、
 他の諸々の物と一緒に、焼け消失したが、
 もしあの漆黒の燕尾服をまとった執事が、
 火災時に、あそこにいたのなら、
 必ず、懐中時計は没収され、
 看守席の引き出しに保管されていた
 はずだった。


 エット-レ卿殺害、
 オレイニク公爵家関係者の一連の死亡、
 そしてローマ警察署の火災
 それらが、全く関連のない事件には、
 ラウルには到底思えない。



 ・・・そして関連があるとするなら、
 引き起こしているのは、ロッジなどの
 大掛かりな組織でなくては、
 まず不可能な犯行だ・・・



 先に指名手配した十四歳の少年に続いて、
 あの執事の事も、早速、
 探し出さねばなるまい、
 とラウル刑事は考えていた。

 そして、一連のオレイニク公爵家の
 連続殺人事件において、唯一直系で、
 生存している可能性のある本物の、
 レオ・アウグスト・オレイニク公爵。

 推定年齢四十半ばの彼の事も
 重要参考人として、
 国際手配すべきであろう。

 この事件が起きる二十年以上前から
 行方不明であるレオは、
 もう既に死亡している可能性は大きい。

 また、死体が発見されてないだけで、
 この一連の事件に紛れて殺害されている
 可能性もある。

 だが、生きているなら、
 彼自身が、少年を自分に偽装させ、
 執事を殺し屋として、
 ロッジから雇った可能性も
 考えられなくはないからだ。


 しかし、何のために?


 法王庁、もしくはエット-レ卿と
 オレイニク公爵家の間に繋がる、
 何かの線。

 葬儀屋が言っていた、卿から紛失した物。

 秘密文書保管庫の補佐官に令状をとって、
 尋問したいところだが、
 上部が許さないであろう。


 ・・・とにかく、
 法王庁から聞き出す手立てを・・


 ラウル刑事の机の上の、
 蝋燭の灯がはためいた。