二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

永遠に失われしもの 第14章

INDEX|4ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 


 古めかしい棺の蓋が、
 きぃーと音を立てて開いた瞬間、
 心地よく張りのある声が響く。


「お目覚めになられましたか?」


 大きな欠伸をしながら、
 葬儀屋が棺から完全に身体を出す間に、
 セバスチャンはカーテンを開けて、
 室内に朝日を取りこんだ。


「よくお休みになれましたか?」


 セバスチャンは、手際よく
 モーニングティーの用意をしながら、
 葬儀屋に尋ねる。


「ふぁ~...おはよう、執事君...って!!」


 上半身の衣服を裂かれて、
 その布地を破って作られた紐状のもので、
 ロココ調の猫脚ソファーに、
 手足を縛り付けられ、猿轡を噛まされた
 グレルを見て、葬儀屋は驚いていた。


「ああ--忘れてました。
 グレルさん、紅茶の用意が出来ましたら
 外してあげましょう」


 猿轡ごしにくぐもった声が
 微かに聞こえるが、
 何を言ってるのかは分からない。

 そんなグレルににっこりと
 微笑みかけながら、
 セバスチャンは、猿轡を外す。


「ひょ・・んな・・ひゅみが・・
 あっひゃなんひぇ・・」

 
 猿轡は外されたものの、その緊迫により、
 すっかり麻痺した舌にてこずりながら、
 喋るグレル。


「朝から刺激的なシーンだねぇ..ヒヒ」


「グレルさん。

 今後、私やぼっちゃんの監視を
 なさるのでしたら、
 夜は永遠にお休みになられるか、
 二度と寝ないか、
 どちらかにしてくださいね」


 セバスチャンが、
 グレルの手足の緊迫を取ろうとした時に、
 その鼻先を棒状のデスサイズが
 掠めていく。
 

「汚らわしい・・悪趣味にも程がある」


 朝日を逆光にして、ベランダの柵の上に、
 ウィルがデスサイズを片手に立っていた。


「ウィル~~」

「グレル・サトクリフ!交代の時間です。
 ですが、何ですか、その格好は?
 みっともない」


 ようやく手足の緊迫が解かれたグレルは
 手首に深く残った跡をさすっている。


「私は自分の服を破っただけですよ--
 グレルさんが、
 勝手に盗んでいかれた--」

「ともかくその格好をどうにかしなさい!」


 グレルは脱ぎ捨ててあった、
 赤いコートを羽織って、
 服の前を両手で合わせて、
 はだけた胸を隠した。


「貴方が嗜虐志向なのは分かっていましたが
 こういう下劣な趣向があったとは・・
 さすが害獣だけありますね」

 
 ウィルは、ありったけの軽蔑を
 含めた表情をして、部屋に入ってくる。


「私のぼっちゃんに手枷足枷つけて、
 薬漬けにされる貴方ほどでは
 ありませんが?」


 負けじと侮蔑と嘲笑の混じった口調で
 返すセバスチャンと、ウィルとの間に、
 見えない火花が散った。

 
「朝から、私の部屋は、
 物凄い人口密度だねぇ・・ヒヒ」

「大先輩である貴方のような方に、
 大変ご迷惑かけて申し訳ありません」


 ウィルは葬儀屋に、上半身を曲げ、
 深くお辞儀しながら、謝っている。


「グレル・サトクリフ!
 あと十五分後に交代しましょう・・

 貴方に折り入ってお話が・・
 この害獣には聞こえない場所で」


 と、ウィルは葬儀屋の腕をつかみ囁きつつ
 セバスチャンを睨みつける。


「オッケ~待ってるヮ。
 髪解かして、お化粧し直さないと、
 これじゃ外にも出れないしね・・
 
 あ、死神協会行くんだったら、
 ロッカーから替えのシャツお願いね、
 ウィル・・」


「まったく・・アナタって人は!」


 と文句を言いながら、葬儀屋とウィルは
 空間に消えていった。