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【ふたりは~シリーズ 1 】ふたりはともだち

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「僕は誰とでも友達になりたいわけじゃない。それに人気者っていうのはとてもいやだし、怖い。持ち上げたと思ったら、すぐ風向きが変わるとその上げた手を一斉に引っ込められて、背中をしたたか打つような、手ひどい裏切りに何度もあったよ。僕は一度もそんなことを望んでもいないのに、いつも何かあると担がれる。ひどいと思わないか、ドラコ?」

「―――それはひどいね」
以前、ハリーは人気者を鼻にかけているとばかり思っていたドラコは、彼の本音を聞き、自分の浅はかさに少し気まずい気分になる。

「友達は自分が選んだ人がいい」
そういってドラコに笑いかけてくる。
ドラコは心臓が飛び上がり、真っ赤になりそうな顔を、必死のポーカーフェイスでカバーした。早まる動悸を必死で押さえ込みながら、かすかに笑い返した。

「それはありがたいね」
「でも僕の友達は、僕がひとりで食事をしろって言うし、あー、冷たい」
「君にはロンたちがいなくても、グリフィンドールにはシェーマスやディーンがいるだろ?彼らと昼食を取ったらどうだい?」
「いやだ。僕は君と食べたい」
ドラコは大げさにため息をつく。

「ハリー、君はひどくわがままな性格なんだな、知らなかったよ」
「そりゃそうだよ。そうでなきゃ、あんなにも意地の悪い君と、毎日やりあったりしてないよ」
「確かになー」
別段怒るふうでもなく、ふむふむという感じでドラコも頷く。

少し考えている素振りで、やがてドラコは立ち上がると、ハリーの肩をポンとたたいた。
「ここで待ってろ。君は大広間に行きたくないんだろ?僕が適当なものを見繕って持ってくるから、校庭のどこかの木蔭でいっしょに食べよう」
「湖のそばがいいと思う」
「あそこまで食べ物を抱えて歩くのか?結構な距離だぞ」
「ああ、荷物なら僕が持つよ」
「持つよって気軽に言うけど、昼休みは1時間しかないのに、その往復で終りそうだよ」
げんなりした顔でドラコが答えた。

「なんだったら、午後の授業はエスケープする?」
「まさかっ!」
「優等生のフリだけするんじゃなかったの?真面目だね、ドラコは」
笑ってハリーはからかう。

「僕は昼ごはんごときで授業を休んだりしない主義なんでねっ!」
むっとした顔で、ハリーの高慢な鼻を引っ張った。
「いてて……」
ハリーは派手に痛がるそぶりを見せる。
もちろんドラコも怒っているふりだけだ。

大広間に向かうドラコの背にハリーは
「あっ、ミートパイは絶対に食べたいから、持って来てね」
とリクエストまでする始末だ。
「はいはい」
とドラコは手を上げて合図して、ドアから消えた。