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【Secretシリーズ 1 】Secret -秘密-

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そのときふいに戸口が開く。
「ハーマイオニー。君の言っていた、あの食品は店になかったから、別のを買ってきたきんだけど、これでいいのかな?」
買い物を頼まれ袋を抱えて戻ってきた彼に、一斉にみんなの視線が集まる。
「―――えっ、なに?」
その場のただならぬ雰囲気に、彼はびっくりしているようだ。

くせの強い黒髪に、緑の瞳。
それは自分の中の記憶にあった、探していた彼だった。
「ハリー!」
寝ていたソファーからドラコは立ち上がった。
勢い込んで彼の元へ走りよってくる。

嬉しそうにハリーは相手の姿を見つめた。
「ああ、やっと目が覚めたんだね、ドラコ。ずっと昨日から眠ったままだったから、すごく心配したよ」
「生きていたんだ!ハリーは、本当にいたんだっ!」
嬉しさのあまり、ドラコは相手に抱きついた。
ハリーの首筋に腕を回して、安心したように笑う。

「何のことを言っているの?僕が生きているとか、本当にいたとか……?いったい何のことを言っているのか、サッパリ……
ドラコはたまらずハリーに顔を寄せると、キスをしてその口をふさいだ。
それを見て、その場にいる全員が凍りついた。

ただ一人ハリーだけは、平気な顔でそれを受け止めている。
逆にうれしそうに目を細め、ハリーは相手の顔を覗き込んだ。
「―――なに、ドラコ?ショックなことがあったの?」
「君が実際にはいないって。ただのマントだって、さっき聞いたから……。だから、僕は―――。僕は不安で―――」
ドラコはまた泣き出してしまった。

それをやさしくハリーの指先がぬぐう。
「大丈夫だよ、ドラコ。僕はここにいるよ」
その言葉に安心したように、ドラコは目を閉じる。
ハリーはその背中をなぜた。

「―――で、いったい僕が、マントなんだ?」
「いや、つい冗談で言ってみたら、ドラコが本気にしちゃったようでさ」
ロンが頭をかく。
「ついでに兄さんたちもダメ押しをしたからね」
ハリーは鋭く相手をにらんだ。

「ひどいじゃないか。ドラコは何も思い出せないのをいいことに、変なことを教えて。彼は僕がいないと、どんなにパニックになるか、これで、よく分かっただろ?これからは、気をつけてくれよ。彼を大切に扱ってくれ」
ここでハリーは一呼吸をおいて、ことさらゆっくりと続きをしゃべり始める。

「―――だってドラコはやっと敵から取り戻した、せっかくの僕たちの仲間なんだからな………」

ハリーは少し口元をゆるめて、そう宣言した。
みんなの視線が意味ありげにその言葉に頷いたのを、目をつぶっていたドラコは気づかなかった。

「……さぁ行こう、ドラコ。疲れただろう?君の部屋はこちらに用意したから」
彼の肩を抱いてハリーはみんなが見守るなか、廊下へと出て行った。