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陰陽師

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都の人間が噂するほど、帝人は幼くない。その童顔の所為で若干年若く見られるくらいだ。
そして人間が嫌いでありながら、人間を妖怪から守る仕事をしている。
矛盾しているだろうが、帝人が持って生まれた力のため、そうする以外に道がなかった。
帝人は幼い頃、この強大な力のために兄弟子や、師匠達までもから虐めを受けた。
化け物、と蔑まれた回数など数え切れない。そんな過去があり、帝人は人間が嫌いになった。
けれど、それを静雄に話そうとは思わない。話したところで、きっと静雄は激高するからだ。
今更そんなことをされても、こまるのは帝人自身であり、都にいられなくなる。

(気持ちは嬉しいんだけどねぇ・・・)

漸くたどり着いた館の、己の自室で帝人は寝着の姿になりながら、腰掛けにゆっくりと座った。
静雄は帝人の寝具がある部屋でとぐろを巻いて寝ている。
そんな姿に笑みを零しながら、帝人は夜空に浮かぶ満月を見上げた。
誰かに心配されたことのない身としては、静雄の気持ちは純粋に嬉しい。
だからこそ、静雄が自分ごときのために怒り、暴れ、迫害を受けるのは赦せない。
それに、力が強いために命を狙われやすいのも困りものだった。
夜になれば妖怪達の力の方が強くなり、些か帝人にとって不利となる。
そのため、結界が施されている陰陽師達の館へと急いでいた。
そんな結界や、妖怪達のことなどきっと静雄は知らない。教えようとは、思わない。
これは教えるのが面倒だと感じたからだ。

(だって静雄さん・・・勉強苦手すぎ・・・)

この前教えようとした尻尾と耳を隠す訓練も、静雄のあまりの物覚えの悪さに断念した。
純粋でまっすぐな気性なのか、そういう策略や事細かなことは苦手らしい。
らしいと言えばらしいのだが。

(んー・・・僕もそろそろ寝ようかなぁ)

身体をほぐしながら、腰掛けら立ち上がりかけたその時、
体中に何か電流のようなものが流れ出す。
反射的に空を、月を見上げると、その月明りに照らされる黒い影が帝人の瞳に映った。
目が驚きと歓喜で見開かれる。帝人はいてもたってもいられなくなり、
上から羽衣を一枚羽織ると、殆ど寝着の姿で館を飛び出していた。


作品名:陰陽師 作家名:霜月(しー)