THWリレー小説 ~仁義なき麻雀戦争 千葉 VS 埼玉~
「知ってるもなにも。有名人よ。あいつ,ノ・・」
「ゲッフンゲフン!!!!」
リング上から,仮面の男が大げさにデカイ咳払いをして,千鶴の言葉を遮った。
『い・ま・は・な・に・も・い・う・な』
ささささっとサインを千鶴に送る。
・・・カタカナを人字で描いているので,全員にバレバレだが。
「またボケキャラね。使えないわ。」
千鶴がバッサリ斬る。
「なんであいつ,千葉についたのかしらね・・・鯉ラヴ筋肉バカの考えることはわからないわ。」
「ま・・・まさか・・・・!」
今やっと,仮面Xの正体に気が付いた天であった。
ワアアァアアァア!!
仮面Xの登場で会場が盛り上がり,
一瞬で爆睡に陥ったものの,目が覚めてしまったザビ。
「なんだよ・・・うるせぇなぁ・・眠れやしねぇ・・・」
そして,リング上の仮面Xに目が釘付けになる。
「ノスリwwwwwwwなんであいつwwwwww」
そう。ザビは彼をよく知っていた。
神奈川エターナルヴァンガード『EV』トップ ノスリ
実質神奈川のTOPだろう。
「あいつ麻雀打てたんだぁ。へぇ〜知らんかった」
でもなんでノスリが千葉の代打?
ん?
と首を傾げる。
「まぁようしらん。あいつ,よくわからんとこあるからなあ・・・でもなんか懐かしいなww」
と,目を細めながら愛弟子を見つめた。
(めいみんターン)
「アイツ、前よりも筋肉をつけやがったwwwすっげっwムキムキしてやがるww」
ここは懐かしい思い出を振り返る絶好の場面なのだが、見れば見るほどザビは爆笑してしまう。
後半戦が始まると会場は静かになり、卓上の、牌が詰まれていく音だけが静かに響く。
チャ、カタン、チャ、カタン…。
しゃっくと沢庵の千葉陣営、二人の間でマッスルポーズをとりながら、パツパツテカテカの筋肉を執拗に見せつけてくる。
しゃべることもなく、黙々と。
(この静かさが逆に不気味だな。マッスルは嫌がらせか、天然なのかさっぱりわからんwwwだが、しかしっ!!ここはデカイ役を狙わせてもらうよww)
碧風は、着々と役牌を揃えつつある。
この、袖に隠し持つ伍筒(すでにウーピン二つは仕込み済み)が、最高に役立つ場面を待った。
さすが、兄弟プレイと言うべきか。
絶妙な通しは、今のところ気付かれていないようだ。エレベーターも成功している。
しかし、魚屋はこの時、ウズウズとする衝動を抑えきれなかった。
(お、俺もマッスルしたいぜっ!この筋肉美を、仮面Xに見せつけてぇww)
静かな会場は、嵐の前の静けさであった。
しゃっくと沢庵は、ニヤリと目配せをしていた。
(しゃっくターン)
(やるか…?)
(来るな…(笑))
たくあんとシャックはアイコンタクトをし、
また打牌を繰り返す。
(イカサマ?…させねーよwww)
「ツモ!トイトイ、ドラドラ!」
シャックは高らかに宣言し、青魚コンビから満貫分…つまり4000点ずつ頂く。
碧風は焦っていた。
イカサマが失敗したのだ、無理もない。
しかし一方魚屋は、
「ハァハァ(´Д`)…マジ脱ぎてぇ…ブツブツ…」
何か小言を呟いている。
ノs…仮面Xは、さも自分がアガったかのように大胸筋をドヤ顔で見せつけている。
次の瞬間。
バチッ!!!!!
何かが破れたような音がした。
(千鶴ターン)
…会場に広がる悪臭、どこかに懐かしさを感じさせる香ばしいにほい
「「「「…………………」」」」
「わぁあああああああああああ!!」
肛門を押さえる仮面X、筋肉を強調しようと踏ん張りすぎ、勢い余って脱○してしまった
「えー、ここでアクシデントが発生しました…仮面Xことノスリ選手の強制退場により、千葉陣営から再び沢庵選手が卓にもどります」
淡々とマイクを入れる亜雁、その目は死んだ魚のような目をしている
アナウンスが終わるやいなや、警備員によりノスリは強制退場をくらう
「ちょ!?え?○漏らしてだけで?ちょっとまっ………え、?替えのパンツあるkゲフ!!!!」
会場から空き缶等々ゴミを次々と投げられるノスリ
当たりどころが良かったのか、ノスリは動かなくなった
警備員がノスリを連れていく…
「あ、それチー」
取り替えられた椅子に座る沢庵
何事もなかったように打ち続ける両陣営
後半戦ははじまったばかりである
――――一方…
ガチャっ
「ぁーはん?」
扉の音に反応し顔を向けるザビーネ
その視線の先にら警備員に引きずられているゴミと○付きのパンツを替えていないノスリ
警備員はザビーネの隣に縛り着けて置いた
「ちょwwマジ勘弁wwww警備員さん?警備員さぁああああああん!!!!」
ザビーネは思った、これが俺の咎に対する罰なのか!?
(碧風ターン)
「ぐwwwwこれマジ勘弁wwwノスリwww」
VIP席はものすごい悪臭に包まれていた。
警備兵たちも,一様に顔をしかめているが,任務を離れないあたりは一流だ。
「しくしくしくしく・・・すいません師匠・・・・」
ノs・・仮面Xは,はらはらと泣いてうつむいている。
可哀想www
誰もがその言葉を頭によぎらせたとき。
バンッ!!!
と,勢いよくVIP席の扉が開いた。
「・・・うっわ,すごい臭いですねwww」
ニコニコと笑いながら,光闇の青年が入ってきた。
「ジンちゃん!!ちょっとこれどうにかしてよ,お願い!!」
ザビは救いの神が現れた,とぱあっと表情を明るくする。
それを見たジンは,満足そうにザビに近づいた。
「ザビ隊長。どうにかしてもらいたいですか?」
「うんうん!もうマジ助けてwww」
「じゃあ,これ。ファ○リーズです。これはすごいですよー,掃除マニアの私が言うんですから,間違いありません」
そう言って,トン,とファブ○ーズをザビの足元に置く。
「え・・・ちょと待って・・・これ・・・」
「じゃ,あとは大丈夫ですよね,ザビ隊長♪」
そう言って,あどけない笑顔でニッコリと笑うジン。
「あの・・・俺・・・縛られてるんですけど・・・」
「隊長ですもの,何とかなるでしょう?じゃ,私はこれで。」
ニッコリと再度笑って,ジンはVIP席を退室した。
「ちょ・・・!これ,逆にマジしんど・・・!!ヴッ・・!!!」
・・・ザビの咎はそうそう許されたものではなかったようだ。
一方その頃,卓上では闘牌が繰り広げられていた。
「ちっ・・・」
魚屋は明らかに不機嫌だった。
劣勢だからではない。
・・・・筋肉対決が繰り広げられなかったからだ。
脱ぎ掛けて,半分まで破けてしまった服を整え,前を合わせる。
その時。
「ツモ!メンタンピン三色同順ドラ3,倍満!!8000,4000!!終了!!」
高らかに長い呪文を宣言するしゃっく。
「「まずいな・・・」」
青魚コンビは同時につぶやく。
これで,碧風が親かぶりブットビ終了となってしまったからだ。
半荘6回戦終了。
この時点で,千葉+80と,埼玉―80と,大きく場が動いた・・・
(めいみターン)
この場に来ての差は、埼玉陣営の不安を煽る。