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SPY

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平和島静雄は悩んでいた。

今自分は折原臨也と付き合ってるけれどこれは本当なのか、相手は自分のことを本当に好いてくれているのか。
静雄が臨也の家に遊びにいっても臨也はパソコンに向かっていてほとんど静雄がいる意味はない。
時々思い出したようにいたずらにキスをしたり、体をあわせたりする。が、そこに愛はあるのだろうか、と静雄は考えていた。
臨也の前では悩んでいるそぶりなど見せない、自分から甘えることもない。
ただ、3日前に静雄を自分の家に呼び出したのに臨也が家に帰ってこないことがあった。
そのとき臨也は仕事が長引いた、と言っていたが静雄は我慢の限界だった。

決意したのだ、折原臨也を試してやろうと。

「というわけだ、幽、手伝ってくれないか?」

静雄は超多忙な弟を呼び出してそんな相談をした。
すると兄思いの弟は、
「いいよ、それが兄さんのためになるなら」
と一言了承した。

そしてある日静雄は臨也に「あさって、どこか出掛けよう」と自分から誘いのメールを送った。
臨也からの返信は早く「わかった、予定あけて楽しみにしてるね」と。

静雄は携帯を静かに閉じた。なんか、文面が楽しそうだったな、と少し申し訳ない気持ちになったものの、やはり心は決まっていた。
そして静雄は幽に「あさって、決行。よろしく頼む」と業務連絡のようなメールをした。

当日、静雄は臨也に予定のキャンセルを告げる電話をした。
臨也はいたって気にしていない様子で静雄は予想はしていたものの、こうも素っ気無いのは寂しいな、とため息をつく。
そしていつものバーテン服ではなく幽が見繕ってくれた「普段兄さんが着ないような服と帽子」を身に着けて池袋の街へ出た。
街へ出ると周囲の自分への視線が全く違うことに気付いた。
これからたまにはこういう格好で出かけようかな…、と静雄は思った。

静雄はこの格好でも自分だと気付くような人が見かけて掲示板でもなんでも噂をすればいいと思っていた。
そうすれば必然的に臨也に自分が浮気してるかもしれない、という情報が流れると考えたのだ。
そして計画通り、道路に停められた幽の運転する車を見つけ、軽く手をあげ助手席のドアを開けた。

「おはよう、兄さん。もうこんにちはかな」
「どっちでもいいさ、今日はありがとうな、幽」

ふと静雄は視線を感じ、顔を上げると視界の端に見慣れた黒い影を見つけた、臨也だ。

「(そんな…)」
「どうしたの兄さん、早く乗って」

幽は急かすように座席をぽんぽんと叩いた。

「ああ、悪い。今日は実家に顔見せに行こう」
「うん。あ、」

そういうと幽はおもむろに顔を静雄の顔に近づけた。
そしてそっと指で静雄の顔を撫ぜた。

「?、どうした?」
「ん、睫毛ついてたから。取れたよ、大丈夫」

幽は指についた睫毛をほら、と見せた。
静雄はありがとう、と言いながらこの光景を臨也が見てたら勘違いしそうだな、と思った。
まあ、それはそれで面白そうだと静雄は苦笑した。

いつ種明かしをしよう、臨也は怒るだろうか、それとも笑うだろうか。
どちらでもいい、もし別れることになってもそのときはそのときだ、静雄は思った。


作品名:SPY 作家名:藤村