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ノースキャロライナ

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 授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると同時に栄口は机へ突っ伏してしまった。もう昼休みだった。教室内は途端ににぎやかになり始める。
 まさか一部始終を見られていたのだろうか。いや、それはない。周囲には注意を払っていたし、ドアが開く音と水谷の登場は一緒だった。
 たとえそうだったとしても、水谷は「何してんの?」と尋ねるくらいはするだろう。たかがあいつのカーディガンを持っていただけで、どうしてあんなふうに拒絶されなければいけないのか。不可解だった。
「栄口、寝てるのか?」
「いや、起きてる」
「メシ食おーぜ」
 同じクラスの巣山が弁当を持って立っていた。寝不足か、と聞かれたので、まぁ、と曖昧に返事をした。実際、昨日の夜は悩みすぎてあまり寝た気がしなかった。
 隣の椅子を引っ張りつつ、巣山が何気なく「昨日、水谷は間に合ったか?」と聞いてくるものだからぎょっとした。頭の中で一生懸命断片を繋ぎ合わせて答えを出そうとするけれどうまくできなくて、率直に「何が?」と聞き返す。
「昨日の帰り、あいつ忘れ物あるとか言って途中で戻ったんだよ。んでみんなで栄口が鍵かける前だといいなーって喋ってたんだ」
「ああ、来た来た」
「それじゃ大丈夫だったんだな」
 巣山の意図することとは別のことで栄口は深く「大丈夫なんかじゃない」と思った。朝練で目も合わせてもらえなかった。昨日の出来事が自分と水谷の関係に強く影響を与えたのは間違いなかったが、原因は見当もつかなかった。
 自分の想像がすべて憶測の域を出ず、わだかまりはずっと胸の中で渦巻いている。一番嫌われたくない相手から突きつけられたのは拒絶だった。絶望的な考え事をしながら頬張る弁当は砂利のような味がした。

作品名:ノースキャロライナ 作家名:さはら