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【Secretシリーズ 2】Truth -真実-

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ゆっくりとハリーはドラコを抱きしめた。
高熱で息は速く、呼吸は苦しそうだ。
だけど、ドラコの顔ばかり見て、笑う。
そこに自分の幸せの全てがあるような顔をして、笑っている。

ドラコはなんだか泣きたくなってきた。
とても嬉しいからだ。
ハリーの笑顔をみているだけで、嬉しくなってしまう。

自分とハリーとのあいだには、ひどい記憶しかなかったはずなのに……
なのになぜ、こんなにも懐かしい気持ちを感じるのだろう?

自分の中に、別の自分が、もうひとりいるようだ。



「ハリー!」
「ハリー!」
自分そっくりの顔をした別人は、ハリーに夢中だった。

彼はいつもハリーのことが、大好きだと言っていた。
わがままばかり言って困らせて、甘えてばかりいた。

それを丸ごと抱え込み、ハリーは幸せそうに笑っている。
そんなふたりのことを、仲間たちはやさしく見守っていた。


――――幸せな時間が、そこにはあった――――



ドラコはうつむいて、唇を噛む。
(……あれは自分じゃない。別の自分によく似た他人だ。あれが僕であるはずがないじゃないか。だって僕はドラコ・マルフォイだ。……この僕が、素直になれるはずないじゃないか!)
下手なプライドがあった。
見栄っぱりで、誰にも弱みを見せない。
狐のようにずる賢い。

――――それが自分だった。


ドラコはいろんな感情が自分の中で渦を巻いて、混乱している。
何も考えられず、深いため息をついた。

今ハリーも、自分と同じように、高熱をだして、ほとんど意識がない。
抱きしめている相手が、誰なのか混乱して、分かっていないはずだ。

この腕の中は、ひどく暖かくて気持ちがよかった。
自分は今体調が悪く、頭痛も寒気もする。

だから寝ぼけたことにして、もう少しだけこの腕の中で、目をとじていてもいいような気がする。

自分もハリーも病人なのだから……


――――今だけは、いっしょに寝てもいいような気がして、ドラコは相手に寄り添い、そっと目を閉じたのだった。