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【Secretシリーズ 2】Truth -真実-

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――かなり昔のことだ。

知り合った最初から、彼には親友たちがいて、仲良く笑いあっていた。


その友情がうらやましいのか、ハリーのとなりにいられることがうらやましいのか、そのどちらにも選ばれなかったドラコには、分からない。

結局、彼が選んだのは、最後まで僕ではなかったわけだ。
ハリーは記憶をなくした、素直な別の自分を選んだだけで、この自分自身ではないのだ。

自分は誰からも好かれたことなど、一度もなかった。
ドラコはため息をついた。

たかが選ばれなかったことぐらい、何でもないじゃないか。
よく思い出してみろ?
一度だってお前が、ハリーに選ばれたことがあったか?

……かわいそうに。
いつもいつも、お前はひとりぽっちだ。
心を閉ざして、友も作らず、プライドだけが高くて、最後は結局ひとりで死んでいくんだ。

かわいそうで、とてもバカな自分……

こんなことは何でもないことだ。
今さら、自分の生き方など変えれるわけがない。

いっしょに屋敷まで送って欲しいと言ったのは、最後のわがままだった。
もう会うことはない相手を、もう少しだけ見ていたかった。

ハリーといっしょに眠った夜から思うことは、彼の笑顔だけだ。
自分にはハリーと過ごした幸せな記憶などない。
心の中にあるぼんやりとした思い出は、自分ではない、別の自分の記憶だ。

しかし、あの夜の抱きしめられた腕の中の暖かさは、自分だけのものだった。
たとえハリーが熱に浮かされて、勘違いしていても、それは自分だけの思い出だ。

(ああ、ハリーと見る空はなんてきれいなんだろう……)
ドラコは泣くような顔で、笑っていた。

風は強く、からだは冷えた。
手はかじかみ、ほうきをしっかり握っていないと、落ちそうになる。
このふたり旅には終わりがあった。
多分、夜にはドラコの屋敷にたどり着けるだろう。

彼の背中を見ているのは、そう悪くはなかった。
いつかはその肩を並べてみたいと、思ったこともあったけど……

(――しょせん、君と僕は、敵と味方にしかならなかった…………)