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さとがえり

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鵺野は自分を無視して進められる話にとうとう切れた。
怒り半分、泣き半分。ただの人間でしかない存在(じぶん)に、どうしてこうも無理難題をふっかけるのだろうか、ああ、妖狐だから分からなくて仕方が無いのかなと、鵺野は理不尽さに涙が出そうだった。
そんな鵺野の様子に妖狐の親子はバツの悪そうな顔を見合わせて黙り込む。
「……まあ、まあ。そんなに、結論を急ぐこともないかな」
「そうですね。時間はまだありますしね」
鵺野の怒ったり泣いたりする顔を見るのは楽しいが、流石に少々やりすぎたかもしれないと玉藻と青柳は揃って同じ事を思ったのだ。
「うん、この話はもうおしまい! あ、そうだ鵺野先生。口直しにカステラなんかどうかな? 抹茶入りの。食べる?」
「……いただきます」
こと食べ物に関しては鵺野はよほどの事がない限り来るものは拒まない。菓子の類ならば猶更だ。
「よし。じゃあ、お茶も入れなおしてこよう」
よっこいせと年寄りじみた掛け声で立ち上がり、青柳は厨の方へと去っていく。
「………済みませんでした、不愉快な思いをさせて」
二人きりになったところで、玉藻は鵺野の方を見ないままそう囁いた。
「……教えろって言ったのは俺の方だし、いい」
玉藻に背中を向けた格好で、涙を滲ませながら鵺野は返す。玉藻は体をすこしずらして鵺野の腕に腕を触れさせる。その場所だけ特に痺れるような感覚が生じて鵺野はまつげを震わせる。
「私は貴方だけ居ればそれでいいですが、貴方が子供を望むのならばと、…つい…。でも真面目な話、私が女になってどうこう、という事は可能性の一つなんですよ。だから一応、覚えておいてくださいね」
「……努力、する」

作品名:さとがえり 作家名:さねかずら