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ろぐぐぐ!!  そのさん

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にょ帝、中世パロのつもり。
王子として生きなきゃいけないミカドと、ミカドが女の子だと知っている教育係のイザヤ的な。







『お前は私の大事な子だよ』


父の言葉の本当の意味を僕は知っている。違う、知らざるを得なかった。
この世界で生きていくためには、“私”はもう要らない子。必要なのは“僕”だけ。
だから、“僕”は、


“私”を殺した。




***




「まったく、あの剣術の先生は本当に厳しいですね」


無駄に立派な椅子に腰掛けた子供前に跪き、イザヤは一つ溜息を吐いた。
それでもてきぱきと正確に、ガーゼを貼り付けられた子供の細い足首に包帯が巻かれていく。
白い肌には他にも沢山の青痣や傷跡があり酷く痛々しいが、子供は何てことないように笑った。


「でも技術は確かです。凄く為になりますよ」
「しかし、元々ミカド様には必要のないものではないですか」
「……イザヤさん、」


不貞腐れたような声に呼ばれ赤い双眸が上げられると、子供の寂しそうな瞳とかち合う。
その表情にふと息が止まり、そしてすぐに困ったように笑った。


「俺は貴方の教育係ですよ?」
「何を今更言っているんですか、お願い…してるでしょう。二人っきりの時は、」
「……分かりました。いや、分かったよ」


“ミカド”、と二人きりの空間に声が響く。
名を呼ばれた子供は、ミカドは凄く嬉しそうな笑みを溢す。
それをイザヤは綺麗だと思いながら、そっと滑らかに頬に触れた。


「本当、ミカドには傷は似合わないよ」
「そんなこと、ないです」
「そんなことあるよ、だって君は」




俺の大事なお姫様なんだから。




さも当然と言わんばかりに呟かれた言葉に、ミカドの双眸が限界まで開かれる。
そして一拍置いて、ぼろぼろと生温い雫が溢れ出した。


「っ、ミカ」
「ごめ、なさ……ごめん、なさいっ」


イザヤの手に自分のそれを重ね、ぼろぼろとミカドは泣き続ける。
イザヤはそれを振り払うこともせず、変わりに空いている手で髪をくしゃりと撫でた。


「……け、だか、ら」
「ぇ」
「イザヤさんだけ、だから。“前の僕”を、必要としてくれるの」
「っ、」






“私は要らない子なの”“必要なのは僕だけ”
捨てられたくなかった、必要として欲しかった。お願いだから見捨てないで。


(でも、でも本当は)(“私”も、生きていたいの)


だけど誰も“私”は必要としてはくれないから。必要なのは“僕”だけだから。

(だから、だからだからだから)

「……ごめんね」
「ど、して…イザヤさんが謝るんで…すか」
「俺は君を助けてあげられない、どんなに君が苦しくたって…」

本当は君をこんなところから連れ出してあげたいのに。

泣きそうな顔で笑いながら、イザヤはミカドの身体を抱きしめた。
触れた温度にミカドはまた涙を溢れさせ、そっと背中に手を回す。



(許されない恋だと知っていても、この人だけが“僕(私)”が生きれる世界なんだ)