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傷口に口付けを…

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約二週間前。

臨也と帝人は二人でデートをしていた。
臨也は最近仕事が非常に忙しく、帝人に会うどころか、連絡をとることすら時間が無くて出来ずにいたのだ。
そのため、臨也は仕事が一段落して直ぐに自分が徹夜続きなのも忘れて帝人に連絡をして、久しぶりのデートをすることになったのだ。
だから、“何処へいく”とか言う明確な目的地が有るわけではなく“ただ一緒にいたい”と言うことで二人は街をぶらぶらとしているのだ。

街を歩き始めて二・三時間がたった。
そろそろ帝人が歩き疲れる頃だろうと思い近くにある喫茶店へと向かおうとして板や先に、背後から一人の男が「死ねぇぇぇっっ!!」と叫びながら臨也に向かって、手に握りしめていたナイフを振りかざし、力一杯に振り切った。
いつもの臨也なら、殺気が溢れでている男など気配で気づいて軽々とかわしつていただろうが、今日の臨也は少なくとも三日間徹夜をしているため反応が鈍り「しまったっっ!」と思って切られるのを覚悟した瞬間、隣にいた恋人が自分の目の前に立って自分の身代わりへとなったのだ。
帝人を切りつけた男は無関係な人間を切ってしまったことに恐怖を感じたのか握っていたナイフを手から滑り落とし、早々と逃げていった。
臨也は今すぐ帝人を傷つけた男を殺そうかと思ったが今はそんなことよりも帝人の方が大切だった。
男に切られた胸から腹部にかけての大きく深い傷口からは、止まることを知らないかのようにたくさんの血が溢れでていた。
臨也は急いで友人でもある闇医者へと連絡をして助けを求めた。

作品名:傷口に口付けを… 作家名:悠久