傷口に口付けを…
新羅は帝人の姿を見て、何があったのかと臨也に聞こうと思ったが臨也の焦った姿と帝人の傷を見てその疑問を飲み込み手術を始めた。
臨也は手術の邪魔になるから、と手術をしている部屋から出て新羅の同居人…もとい、恋人でもある運び屋のセルティにうながされリビングにあるソファへと腰をおろした。
新羅が手術を始めてしばらくしたとき手術部屋から新羅が出てきた。
「ちょっと今のままじゃ帝人君の血液が足りなくて危ないからから輸血しなくちゃいけないんだ。確か、臨也は帝人君と同じ血液だったよね。少しだけでも良いから帝人君に血、分けてくれない?」
臨也にとって自分の血液など、どうでもよかった。
今はただ…帝人さえ生きてくれれば。
そう思い、臨也はギリギリまで多くの血液を帝人に輸血をした。
寝不足の上、貧血状態となった臨也はもう限界だったが、帝人の手術が終わるのを、わずかな意識でただただ静かに待っていた。
臨也が帝人に輸血してから五時間近くたったころ、やっと新羅が手術部屋から出てきた。
臨也は新羅の元へと急いでかけより、さっきまでふらふらになっていたとは思えないほどの力で新羅の方を揺らしながら「帝人君は!?」と聞いた。
そんな臨也の姿に苦笑しながら「手術は成功したよ」と伝えれば、そのまま臨也は膝から崩れ落ちるようにして眠りについた。