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【かいねこ】春告鳥ノ恋

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庭でせわしなく布団を干しているいろはに、染井が声を掛ける。

「いろは、こっちへおいで。ちゃんと紹介するからね。この子がカイト。吉野のところの唐繰で、しばらく預かるからね。この子はいろは。家のことは、この子に聞いておくれ」

お互いに頭を下げた後、いろはが申し訳なさそうに、

「ごめんなさい、旦那様がカイトさんのこと言うの忘れてたから、まだお部屋の用意が出来てないんです」
「忘れたんじゃあないよ。言わなかっただけさ」
「もっと悪いですよ!」
「まあ、いいじゃあないか。後は、二人で仲良くやっとくれ。あたしは、部屋にいるからね」
「えっ?あ、旦那様!」

染井は、さっさと自分の部屋に戻ってしまう。
残された二人は、戸惑い気味に相手の顔を見た。

「あ・・・・・・えっと、カイトさんは、吉野先生のお手伝いをされているのですか?」
「はい、そうです」
「凄い!カイトさんも、お医者様なのですね」
「あ、いえ、僕は先生のお手伝いをしているだけで、医者ではないのです」
「そうなのですか。でも、本を読んだり、手紙を書いたりなさるのでしょう?」
「ああ、ええ。一応、読み書きは出来ますので」
「まあ、それじゃあ、あの」

いろはは、恥ずかしげに俯くと、

「あの、カイトさん、私に、字を教えてくれませんか?」
「え?」
「私、少しは読めるのですけど、書くほうは・・・・・・旦那様はお忙しくて、お願いできませんし」
「ああ、いいですよ。僕で良ければ、喜んで」

カイトの言葉に、いろははほっとした顔で、

「はい、お願いします。あ、すぐお部屋の支度しますので」
「あ、手伝いますよ」
「え?い、いえ、そんな!私一人で、大丈夫ですから」
「いえ、これからお世話になるのですし、それくらいはさせてください。後は、何をすればいいでしょう?」
「えっ、あ、じ、じゃあ、ハタキを掛けて頂けますか?今、用意します」
「はい」

いろはは、慌てて家の中に戻ろうとして、ふと足を止め、

「あの、仲良くしてくださいね、カイトさん」

そう言って、満面の笑みを浮かべる。
カイトは、一瞬呆けたような顔をした後、

「あ、ああ、はい。宜しくお願いします」

いろはの後について、家の中へ戻った。

作品名:【かいねこ】春告鳥ノ恋 作家名:シャオ