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こらぼでほすと 闖入2

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 空の茶碗を差し出している坊主に、はいはい、と、女房が、ごはんをよそってマヨネーズも渡す。二杯目はマヨごはんだ。うわぁーと、上司様でも退く。てんこ盛りにマヨネーズをかけているごはんなんて、おいしいとは思えない。その様子に、「やっぱり、あんただけなんですね。」 と、女房は笑っている。悟空も、それはいらないというし、上司様の様子からして、マヨごはんなるものは、三蔵オリジナルであるらしい。
「栄養があるんだぞ。」
「そりゃ、タマゴと酢だから栄養はあるだろうけど・・・俺はイヤですよ。」
「昼はマヨネーズ焼きをしろ。」
「はいはい、何を焼きます? 」
「サカナ。」
「んーサワラがあったから、それでいいですね。」
 寺の夫夫は、普通に会話しているが、待て待て、と、捲簾が止める。同じものを食べさせられるのは勘弁願いたい。
「俺は、ゲテモノは勘弁だ。」
「僕も、そういうのはちょっと。」
「大丈夫です。案外、おいしいですよ。まあ、マヨネーズのないのと、あるのと両方用意しますから。」
 ホイル焼きにするから、マヨネーズを載せるか載せないかだけのことです、と、説明されると、上司様一行は、ほっと息を吐く。
「おまえ、まさか、毎日そうやって、好きなものばかり作ってもらってるのか? 三蔵。」
「当たり前だ。リクエストしない日もあるがな。」
 リクエストしなくても、三蔵の口に合いそうなものが出てくるので問題はない。そんな難しいことは言われてもできませんよーと、ニールは手を振っているが、甘やかすにも程があるだろう。そりゃ、こんなことをされていたら、永久就職させたくなるのも頷ける。
「ニール、本当に、このアホタレ鬼畜破戒坊主のことは見放さないでやってくださいよ。ここまで、しつけたら、もうニールしか世話できませんからねっっ。」
「さあ、どうでしょうね。俺、季節限定なんで、ずっとはできてないですし。」
「なんだ、それは? 」
「特区の梅雨の時期は、まったくダメなんですよ。だから、その時期は、寝込んでいるので、寺のほうにはいないんです。」
 それなりに準備はしているが、一ヶ月くらいは留守にする。そして、ニールが戻ると、今度は、坊主とサルが本山へ出張するから、すれ違いで下手をすると二ヶ月くらいは逢わないなんてことになるし、体調を崩したら、その場合も、本宅か里で静養しているので、ずっと寺のほうで暮らしているわけではない。そこいらを説明したら、けっっと坊主が舌打ちした。
「そういう欠陥品だから、俺が貰ってやったんだ。」
「季節限定ねー。」
「やっぱり、どこか具合は悪いんですね。」
「テロリストやってた時に死にかけまして・・・その時に浴びた粒子の加減で遺伝子自体に異常が起こってるんだそうです。」
「まあそりゃ、まともなら、三蔵のとこに嫁ぐなんてことはないわなあ。移動できないってーのも、それが原因か? 」
「ええ、気圧変化がまずいそうで・・・日常生活は問題ないので、ここで女房をさせてもらってます。」
 なるほど、と、上司様ご一行も納得した。そういう事情で、テロリストが続けられないから、三蔵が呼び寄せたらしい。そうでもなければ、こんな甲斐甲斐しい嫁は来ないだろう。
「ニールのテロリストの専門はなんだ? 」
「遠距離射撃です。」
「体術は? 」
「以前は、そこそこはできましたが、捲簾さんの相手は無理ですよ。俺、三蔵さんに、ボコボコにされてるぐらい弱いですから。」
 ね? と、女房が亭主に同意を求めると、おう、と、亭主も頷く。たまに、イライラすると相手をしてもらっているのだが、そういう意味に、上司様は取らなかった。
「ちょっと、三蔵? なんてことしてんですか? ここまで懇切丁寧に世話してくれてる嫁に暴力奮うって、どこまで鬼畜なんですか。」
「三蔵、おまえな。そういうことは、DVって言ってな。離婚の原因になるんだぞ? 」
「三蔵、運動すんなら、悟空としろ。」
 三人が、即座にツッコミだ。違います、違います、と、女房が訂正するが、誰も聞いちゃいねぇー。そういうことなら、俺の相手をしろ、とか、捲簾は叫んでいるし、「すまないな、乱暴者で。」 と、金蝉は謝っているし、「それなら、夜の運動をしなさいな。」 と、天蓬はよからぬ方向のことを命じている。そして、坊主はさらりと無視をして食事を進めている。いちいち相手をすると、煩いからのことらしい。
「ちょうどいい。食後の運動に相手をしろ、三蔵。」
「武器アリか? 」
「どっちでもいいぜ。俺も真剣で行くからな。」
「いいだろう。」
「ニール、うちのに凹ってもらいますから、それで溜飲は下げてくださいね。」
「ええっ。いや、ちょっと待って。てか、あんたの武器って、マグナムでしょ? それに、捲簾さん、真剣って・・・そんなのは、近所迷惑ですっっ。」
 本気ではないとはいえ、そんな本物の武器で対決されたら、物騒すぎるので、ニールが慌てて止める。もはや、上司様だから、丁寧に、とか言ってられない。
「お前も参加するか? 」
「ニールもマグナム使います? なんなら、背中から三蔵を撃ってもいいですよ? 怪我は、八戒が治してくれますから。」
「だから、やめろって言ってんだよっっ。どこの世界に、マジ武器で運動するバカがいるんだっっ。」
「ここにいる。」
「心配すんな、斬りつけても薄皮一枚くらいに調節する。」
「流れ弾と兆弾は? 」
「当たったら不幸ってとこだな。」
 誰も気にしていないから、さらさらと回答が返って来るのだが、そういう問題ではない。寺は出入り自由だから、誰が山門から入ってくるかもわからない。そんなところでやることじゃない、と、怒鳴ったら、ようやく、金蝉が止めてくれた。
「撃たない、斬らないってことでやれ。ニールがイヤがってる。」
「まあいいけどよ。木刀あるのか?」
「しょうがねぇーな。空砲でやるか。」
「それならいいか? ニール。」
「もうちょっと健康的な運動ってないんですか? 」
「健康的だろ? マジ武器使わねぇーんだから。」
「・・・わかりました。」
 元々、三蔵の攻撃は喧嘩殺法だから、相手をするとなれば、そういう方法しかないものだ。わかっちゃいるが、さすが、上司様たちも普通ではないと、ひしひしと、ニールも感じた。真剣と拳銃で、腹ごなしの運動に戦ってみるのが、普通というのは、ちょっとない普通具合だ。
「どうせ、後で八戒たちも来るだろうから、そっちともやれば、運動量は足りるでしょ? 捲簾。」
「悟浄、腕が廃れているんじゃないか? あいつ、ちゃんと鍛錬してないだろ? 三蔵。」
「ハイネもいるぞ。まあ、弱いんだが。」
「ああ、そうだった。あいつ、まだ寝てるんだな。おまえとやって身体を温めておくと、ちょうどいいな。」
 この人たちって・・・俺なんかより、よっぽど物騒じゃないか? と、内心で怯えつつ、寺の女房は朝の食事を続けることにした。
「ニール、こいつらは、特別枠で普通、坊主はマグナムで撃ったりしないもんだからな。」
作品名:こらぼでほすと 闖入2 作家名:篠義