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こらぼでほすと 闖入3

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 年少組がおやつを食べに来ることが多いので、ニールは、その下準備もしてある。多少、人数が増減してもいいようなメニューが主流で、そろそろ寒くなってきたりで温かいメニューが増えてくる。本日は、キザミ蕎麦とそぼろおにぎりであるらしい。すでに、台所には、そぼろの材料が冷まされている。だいたい、四時から六時あたりが、おやつタイムで、三蔵が晩酌を始めるのが、六時前といったところだ。基本、悟空は早ければ四時ごろに戻って来る。
「やっほーいっっ。」
 キラたちが、現れておやつタイムに突入する。ここで軽く食べて、出勤することになっている。
「ごくーは、まだなの? ママ。」
「そろそろじゃないか。金蝉さんと一緒だから、寄り道してるのかもな。」
「ニール、この後、一人で大丈夫ですか? 」
 アスランは、ニールひとりで、金蝉の相手をすることに気付いていて心配する。昨日の宴会でも、無口な方だったから、気を遣うんじゃないかな、と、気になったからだ。
「俺、今日は休みます。シンが早めに出勤していますから、トダカさんのフォローはできているはずです。」
 もちろん、レイも、それに気付いていたので、シンと相談して、わざわざ早めに戻って来た。お客様とふたりよりは、マシだろうということらしい。シンのほうが騒がしいので、そういう賑やかしには最適なのだが、無口な相手に、それは意味がなかろうということで、レイがやってきた。
「うん、そうしてもらったほうがいいな。三蔵さんは指名が入ってるから、誰か、こっちに待機のほうがいいと思っていたんだ。」
 休みの連絡は、八戒に入れてあるので、人員の配置は、どうにかしてくれるだろう。アスランも、それなら、と、頷く。
「いや、そんなに気にしてもらわなくても・・・」
「でも、ママ。ひとりだと寂しいでしょ? 僕としても、そのほうがいいと思うよ。金蝉さんって、喋らないんだもん。空気重くなったら大変。」
「・・・まあ、そうなんだけどさ。」
「レイ、適当に、うちのの相手をしてろ。金蝉はスルーでいい。」
 亭主も、そう言う。気遣いして疲れるくらいなら、誰かが一緒のほうが安全だ。例え、無口なレイであろうと、ニールには喋る。
「了解です、三蔵さん。」
「ママ、そぼろのおにぎり、シンにもお裾分けして。」
「はいはい。」
 こちらに来れないシンの分は、届けてもらう。おやつなしで夜食までは、空腹が厳しいからだ。そんなことを打ち合わせていたら、悟空が金蝉と帰ってきた。
悟空にも、そう説明すると、うんうんと頷く。
「ママ、金蝉は放置しといていいかんな。なんか、雑誌とか買ったから読むつもりらしいからさ。レイ、ママに、ちゃんとメシ食わせといてくれ。」
 サル専用の特大おにぎりにかぶりつきつつ、悟空もレイに頼んでいる。とりあえず、「ママは一人にすると碌なことがない。」 というのが年少組でも合言葉になりつつある。
「過保護だな? 三蔵。」
 その様子を眺めつつ、金蝉は呆れていたりする。成人した青年に、そこまで過保護にする必要はないだろう。
「あれはあれでいいんだ。こいつらの母親役もしてるからな。」
「おまえもか? 」
「俺はやってない。あいつは、手のかかるのがいないと退屈して、碌なことをしやがらねぇーからだ。」
「その最たるのが、三蔵さんなんだよ? 金蝉さん。」
「そーそー、三蔵が一番手がかかってるよな? 」
 キラと悟空が、すかさずツッコミだ。体調が良ければ、三蔵の世話をしているのだが、まあ、本当に細かく世話をしているので、余計なことを考えている暇がなくて、ニールの体調は維持されているといっても過言ではない。
「・・・おまえ・・・」
「俺が、わざわざ手間をかけさせてやってるんだ。」
「まあ、そうだよな。で、普通さ、キレると思うんだけど、うちのママは楽しいんだって。」
 手のかかる子猫四匹と同じくらいの手間がかかるので、それぐらいではキレることもないのだ。今のところ、四匹同時に現れることもないし、一匹は行方不明さんだし、一匹は世界放浪で留守をしている。残り二匹は、組織で忙しくしているから、ちょうどいい塩梅ではある。
「別に、手間かかるとは思ってないぞ、俺は。」
 晩酌の用意をして戻って来たニールは、そこでツッコミだ。年も近いし、気も合うので同居するには、いい相手だという認識である。用事を頼まれることも、それなりの気遣いだから、有り難いという。
「それって、やっぱり愛? 」
「・・・うーん、愛情かなあ。・・・金蝉さんも、少し呑みますか? 」
「ああ、もらおうか。」
「俺と同じのにしろ。」
「いや、まだ、吟醸酒はありますよ? あんたは、焼酎でしょ? はい。」
 梅干入りお湯割り焼酎なんてものが、坊主の前には置かれる。定番だから、リクエストする前に用意されているし、金蝉のほうには、軽く冷やした吟醸酒だ。もちろん、ちまちまとしたアテも置かれるし、年少組も摘んでいる。
「ニール、俺は無口な性質だ。放置してくれて構わない。」
「三蔵さんからも、そう聞いてます。でもまあ、適当に食事の時は会話したい性質なんですよ、俺は。付き合ってください。」
「質疑応答か? 」
「んな堅苦しいことは言いませんよ。・・・煩かったら放置しといてくれていいですから。三蔵さんも、無視することがあるし。」
 そう寺の女房が言うと、間髪居れず、亭主がツッコむ。まさに、阿吽の呼吸だ。
「うだうだくっちゃべるからだろーがっっ。」
「新作の時は評価ぐらい欲しいんですがね? 」
「まずかったら食わねぇーんだから、わかるだろ? 」
「酸っぱいとか甘すぎるとか、いろいろとあるでしょ。もうちょっと、こう、とか、そういうのは言ってくれないと。」
「俺には合ってるから食ってる。」
「はいはい。わかってますけどねぇー。なるべく、あんたの好みに合わせたいんです。」
「うぜぇー。死んで来い。」
「・・・・こういう感じなんで。」
 寺の女房は、暴言も慣れたものだ。これぐらいで悲しんでいると、この寺には住めない。なんせ、本当に機嫌が悪いと、マグナムが懐から出てきて狙われる。悟空も、やられているし、悟浄も、そうだ。さすがに室内では撃たないが、境内だと実弾で狙われることもある。
「ニール、人間ができているな? 」
「いや、三蔵さんのほうができてますよ、金蝉さん。俺の相手してるのも大変だと思うんで。」
「「「「はあ? 」」」」
 その場の全員が、ニールの言動に驚く。さほど、煩い人ではないし、しゃべりはするほうだが、それだって騒ぐほどではないニールの相手なんて、とても楽なものだろう。だいたい、年少組やハイネは、構って欲しくて、ここに来るのだ。
「ん? 俺、かなり泣き言垂れてるからさ。三蔵さんが付き合ってくれてるんだぞ? おまえら、誤解してるって。」
「いや、ニール。」 と、アスランは手を横に振っている。それはない、それはない、という意思表示だ。
作品名:こらぼでほすと 闖入3 作家名:篠義