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こらぼでほすと 闖入3

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「ママ、僕、ママと同居しても、全然、平気だと思うよ? 僕のほうが煩いもん。」 と、大明神様は、ふるふると首を横に振る。虐げられてるなら、うちに来て、という態度だ。
「ママ、愚痴なら俺も聞きます。」 と、レイも心配そうな顔をする。あれぐらいを泣き言というなら、自分もシンも、もっとすごいと思うらしい。
「そうやって甘やかすから、さんぞーが付け上がるんだぜ? ママ。」 と、実情の一部を知っている悟空は、ニールの二の腕あたりを軽く叩いている。
「当たり前だ。おまえは、ぐだぐだとどうしょーもねぇーことで堂々巡りすんだ。俺でないと付き合いきれん。」
 そして、すべてを破壊する坊主の言葉に、うわぁーと全員で顔を引き攣らせる。ニールがぐだぐだしているとこなんて、年少組は、ほとんど知らないから、坊主の言葉が嘘にしか聞こえない。実際は、ニールが思っているほどではないが、泣き言は垂れている。それを聞いてやっているだけなのだが、ニールは、それで気は済むから感謝しているが正解だ。
「だから、感謝してるって言ってるんですよ。」
「いちいち、言わなくてもいい。・・・この大バカモノっっ。おらっっ。」
 空になったコップを坊主が差し出すと、女房はお代わりの用意をするために台所へ下がる。
「なるほど、いい夫夫だな。」
「そうじゃなけりゃ、寺に住まわせねぇー。」
「そのあたりの惚気でも聞かせてもらうか。」
「・・・金蝉・・・・」
「なんだ? 」
「死んで来い。」
「殺れるもんなら殺ってみろ。」
「けっっ。」
 三蔵の性格は、金蝉もよく知っている。割と繊細なところもあるのだ。見た目には、絶対に伺えないが。それなりに、どっかで互いに繋がっているところがあるから、ニールは三蔵の世話をしていても嫌気がさすことはないし、ぐだぐだと嘆くニールに適当な相槌をうっているだろう三蔵も、それで本気で腹は立たないのだろう。だから、一緒に暮らせているわけだ。


 年少組と三蔵が出勤すると静かになる。呑み相手は、レイが勤める。ザルだから、金蝉の相手ぐらい造作もない。ニールのほうは、ほうじ茶で付き合っているので、酔う心配はない。適当に酒の肴を用意して、一緒に摘んでいる。共通の話題となるのは、やはり三蔵のことだ。
「あれは、乱暴者で破戒僧だから、手が付けられなくてな。師匠の光明が居た頃は、マシだったんだが亡くなってからは荒んでたらしい。」
「それで、あの喧嘩殺法ですか? 」
「修行で、あちこち放浪してた時に身についたんだろうな。だが、一応、本山の寺院の管理をすることになった時は、それなりに落ち着いてたんだ。そこの先代の管理者の阿砂利が影響してるんだろう。」
「あの人も、自分でマトモじゃないと言いますけど、いろいろあったんですね。」
「おまえもだろ? ニール。テロリストの前はスナイパーとは、穏やかじゃない。」
「あははは・・・俺は陥るとこまで陥ただけです。世界を変えられるって言われて、テロリストに転職しましてね。所詮、テロリストだから、三蔵さんみたいに落ち着くことはありませんでした。」
 なんていうか重い話なので、レイは口を挟めない。どっちもとんでもない経歴だから、話も理解しづらい世界のことだ。そんな空気を読んで、ニールかレイの頭を撫でる。マトモに軍人をやってたレイにはおもしろくないだろう。
「レイ、ごめんな。」
「・・・でも、ママは優しい。俺は、あなたが、ここに居てくれるだけで心が温まります。それは、テロリストやスナイパーは関係ないことです。」
 前歴は、とんでもないが、レイにとっては優しいお母さんだ。ちゃんと叱ったり注意してくれるし、時には誉めたり甘やかしてくれる。そんな存在は、レイにとってニールだけだ。そこには、前歴は、まったく関係ない。
「おまえさんはいい子だよ。金蝉さん、うちの子は、みんな、いい子ばかりなんですよ。いろいろとあったらしいですが、でも、いい子たちなんです。」
「そりゃ、ニール。『吉祥富貴』にマトモな生き物はいねぇーだろ。こいつら、何かしらやったから、あそこにいるんだからな。おまえも、だろ? 」
 『吉祥富貴』に所属している生き物が、マトモであるはずがない。何れも世界を騒がせたものばかりだ。マトモではないだろうが、異常ではない。悟空だって、そういう意味ではマトモではないし、他の面々も同様だ。だからこそ、『吉祥富貴』の結束は固いともいえる。





 そんな話をしていたら、玄関から足音が響いてくる。何人かの集団らしいので、レイが、とりあえず警戒して立ち上がる。
「敵意はないが。」
「でも、みんな、店のはずなんですが・・・」
 そう言い合っていたら、歌姫様がひょっこりと居間に顔を出した。もちろん、背後には護衛陣のジェットストリームな面々とイザークとディアッカだ。
「あら、レイ。居残り組ですか? 」
「はい、オーナーは? 」
「うふふふ・・・ママがお一人で、金蝉さんのお相手をしていると聞いてましたので、お手伝いに参上しました。」
 昨晩、歌姫様は、店のオーナーとして、三蔵の上司様ご一行に挨拶に出て来た。人外の神様枠の方たちなんていうのは、いかな歌姫様と言えど、逢う事のない方たちだ。だから、スケジュールを組み替えて、店に顔を出した。だから、本日の予定も承知していて、さすがに、ニールだけでは大変だろうと、スケジュールを消化してやってきたのだ。
 ぞろぞろと現れた面々は、ニールとレイに、「よおう。」「邪魔をする。」「久しぶり。」などと声をかけて、居間に入ってくる。
「イザーク、ディアッカ、久しぶりだなあ。まあ、座れ。」
 歌姫様の護衛役をしているイザークとディアッカは、最近、顔を合わせていない。だから、ニールとしては嬉しい。
「いや、俺たちは、このまま店に出るんだ、ニール。送迎のみ。」
「随分と落ち着いたようだな? ニール。顔色がいい。」
 イザークとディアッカも、久しぶりに会うニールが元気そうにしているので、笑顔で挨拶する。するのだが、イザークはくわっと表情を変えた。叱っておくべきことがあったからだ。
「だが、ラボの出入り禁止を破って、ラボの管理権限を使ったのは許しがたいぞ。おまえは、治療中だったそうじゃないか。そんな人間が、緊急事態の対応をするとは、何事だ? 」
「あーすまん。緊急だったんで、それ、すっかり忘れてたんだ。ラボどころか別荘も出入り禁止になっちまったよ。」
「あんまり無理してくれんなよ? ママ。ラクス様か、すっげぇー心配してたんだぜ? 」
 オーヴに降りて、歌姫様は本宅に戻ったのだが、意識が戻らないニールでは叱るわけにもいかなくて、次の予定に出かけることになった。だから、元気になったという報告は受けていても、実物と対面するのは、あれ以来だ。
「まったくです。私くしの寿命を縮めることができるのは、キラとママだけですわ。今後一切、あのようなことはなさいませんように。」
作品名:こらぼでほすと 闖入3 作家名:篠義