二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと 闖入3

INDEX|6ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

 刹那は、ようやく北極近くまで辿り着いて、今回の探索を打ち切った。さすがに、ここには人家もなければ、争う部隊もなかった。荒涼とした氷の世界は風が強く、薄暗い世界だった。人間が居ない世界というのは静かで平和だと、刹那もつくづくと体感する。ここからは、北極上空を飛び越えて、一端、ユニオン側に出て、そこから海底を南下するコースをとる。携帯食料は、ほとんど底をついているが、水だけは、どうにか保有している。どうにか間に合うだろう。キラたちが用意してくれた食料は、一日のカロリー計算に基づいてのものだったから、刹那には多かったので、二ヶ月分の在庫で三ヶ月近く足りた。そういうことをしているから、身長が伸びないのだ、という親猫の注意が耳に聞こえてきそうだが、調達の難しい地域に潜入していたのだ、という言い訳を内心でする。フリーダム自体は永久機関を搭載しているので、壊さない限り問題はない。中の人間も節制すれば、どうにかなる。
 薄暗い白夜の世界だが、レーダーサイトは存在する。隠蔽皮膜を被り、氷の世界を飛び越える。用心のため、陸地すれすれの飛行をしているので気は抜けない。起伏に飛んだ陸地を高速移動しているから、油断すれば氷山に激突してしまう、借り物のフリーダムに損害を与えるわけにはいかないから、刹那も慎重だ。次は、どこへ行こう、と、ふと考える。そろそろ、花を供える時期が近いから、あちらに出向いて、そこからユニオンへ向かうのもいいかもしれない。今回は立ち寄れないが、北米大陸の北部は、まだ歪みの確認をしていないところだ。それとも、アフリカ大陸でもいいかもしれない。なんにせよ、世界のいろいろな地域へ向かいたい、とは考えている。時間の余裕は、そろそろなくなってきている。新しい機体が揃ったら、組織は再始動する。それまでに、出来る限り、自分たちが変えたものを見ておきたかった。




 別荘では、武闘会をやっていた。とはいうものの、相手は、捲簾が勤めるわけで、シンとレイがコンビネーションを使っても、早々に放り投げられていた。それを観戦しているのが、歌姫様や童子様とじじいーずたちだ。
「だらしないぞっっ、シン、レイ。ザフトの赤服が、その様かっっ。」
「うるせぇー。イザークもやってみろっっ。スピードが違いすぎて、どうにもなんねぇーんだよっっ。」
 シンに煽られて、イザークも参加するが、やはり簡単に投げられている。受身を取っているから大事になっていないが、力一杯に地面に叩きつけられたら、大怪我必至の状態だ。
「キラ、そろそろ出て来い。メシ前に軽くやろうぜ。」
「僕、アスランと一緒がいいな、捲簾さん。」
 うだうだと、観戦席でジュースを飲んでいたキラを誘いに、捲簾が来る。キラは、MSに載せれば、「白い悪魔」という悪名がつけられるほどの実力者だが、実際の体術なんていうのは、からきしだ。で、そこはアスランがフォローするつもりだったが、すっかりテンションが上がっちゃった悟空が、「俺も、俺も。」と、手を挙げる。さすがに三対一は厳しいな、と、女房に視線を流したら、ちゃんと意図は汲んでくれた。
「じゃあ、僕も参加しましょう。それで、ちょうどいいはずです。」
「よしっっ、キラ、アスラン、捲簾は俺が始末する。天蓬は任せた。」
「ほおう、小生意気なことをずけずけと言うようになったじゃないか。いいだろう、本気で行くぞ。」
「うわぁー大人気ない。キラくん、アスランくん、僕らは楽しいお遊戯をしましょう。楽しく踊ってくださいね。」
「キラ、気をつけて。天蓬さんも武人だから。」
「了解っっ。」
 三対二の対戦は、いきなりのキラと悟空の「らいだーきーーーっくっっ」 という叫びから始まった。かなり高いジャンプからの蹴りだが、着地点で待たれると、どっちも危ない。そこは、アスランが両方を牽制するように突進する。悟空は、着地点で構えている捲簾の直前で、くるんと一回転して着地点を変えた。キラは、アスランのお陰で天蓬に待ち伏せはされなかったが、着地点からは外れたところに移動されている。とすんと降りて、天蓬に、「あんぱーんちっっ。」 と、殴りこんだら、片手で受けられた。
「うわぁ、へなちょこ。」
「だって、僕、インドア派だもんっっ。」
 へにょへにょパンチに天蓬は大笑いしている。その隙に、アスランが打ち込んでくるが、こちらも、ひらりとかわした。
「本命はアスランくんですか。」
「俺は、一応、元軍人です。」
「なら、アスランくんには、ちょこっとスピードアップですね。」
 べしっと交わした瞬間に、アスランの背中に蹴りを入れる。元帥様にとっては、お遊戯感覚だ。
 そして、本格的なのは悟空のほうだ。スピードで負けていないから、いい打ち合いになっている。
「おまえは大丈夫そうだな、悟空。」
「おう、そこそこ運動はしてるからな。」
 ぴょんぴょんと捲簾の連続攻撃を避けて飛び跳ねつつ、悟空は楽しそうに笑っている。全然、平気だ。これぐらいなら、軽い準備体操ぐらいらしい。捲簾も、さっきよりはスピードアップはしているが、こちらも世間話ができるぐらいの余裕だ。
「あれさ、もはや格闘技とかじゃねぇーんじゃないかなあ。」
「あーまーそうですね。」
 のんびり観戦している沙・猪家夫夫も、微笑ましいものという感覚だ。本気なら、ここいらの地面がボコボコに穴だらけになっているだろう。拳だけで、それぐらいの威力はあるのだ。いかなコーディネーターといえど、MS乗りたちでは、この武人たちに太刀打ちは難しい。まあ、いいのだ。単なるレクリエーションだから、年少組はコテンパンにやられたほうがいい。世界には、とんでもないのがいると経験するのは悪いことではない。
「さすがだなあ。息も乱れてないぜ。」
「そりゃ、悟浄。あれぐらいで、へばったら僕は鼻で笑いますね。」
「俺、もうやりたくねぇーな。捲簾のスピードは速すぎる。」
「諦めてください。午後からの鍛錬には付き合わされますよ、悟浄。」
「いや、キラがなんかやるって言ってたぞ。」
 そう、マトモに闘っているばかりではおもしろくない。だから、お遊びプログラムも組んである。「別荘内かくれんぼ」とか「だるまさんが転んだ」とか、そういうものも用意されている。それなら、歌姫様も参加できるからだ。気を察知できるメンバーだが、大明神様も、そちらは使える。だから、かくれんぼなんかだと、いい勝負になる予定だ。
「おまえの予約は、どういう感じ? 」
「来週はちょこちょこと入ってるので、無理です。その後は、まだ予約がなかったので、そこいらで同道させていただこうかと思います。」
作品名:こらぼでほすと 闖入3 作家名:篠義