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こらぼでほすと 闖入3

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 来週に入ったら二週間ほど、三蔵の上司様ご一行は、特区の西に遠征する。そちらで、特区の人外の関係者と顔を合わせる予定がある。まあ、大したことではないので、というか、地上に降下するための目的であって、本来の目的ではないから、適当なことになっているはずだ。本来の目的は、坊主とサルと過ごすことだ。そして、ついでに、カッパとイノブタもお供にしようという魂胆だから、八戒たちも適当に後から合流する。そこいらは、人外関係だから、MS組には教えていない。西の寺院の関係者との会合ということになっているし、他のものは、店とか本業があるから同行することはない。
「蜜月旅行と洒落込むか? 八戒。」
 亭主は、暢気にそんなことを言うのだが、あの上司様ご一行が、沙・猪家夫夫をフリーにしてくれるなんてことはない。何かしら邪魔はされる。というか、逆に、捲簾天蓬夫夫のほうがフリーを楽しむために、沙・猪家夫夫の参加を望んでいるとの予想も出来る。
「それは無理ってもんですよ、悟浄。」
「やっぱり? 俺らも西は、あんまり知らないから観光はしてみたいんだけど、邪魔者が多すぎるぜ。」
「そのうち、ゆっくりと行けることもあるでしょう。」
「何年か先になりそうだけどなあ。」
 刹那たちが落ち着けば、キラたちも落ち着く。それまでは、店の管理は、対人間チームの担当だから、なかなか纏まった休みは難しい。今回は、特別だから、と、休みを取ることになった。ほぼ皆勤の八戒がいないとなると、経理関係が心配だが、そこいらは寺の女房に頼むつもりだ。日々の流れだけでも入力しておいてくれれば、後から整理も楽だからだ。
「あいつら、ママニャンの値踏みは終ったのかな。」
「いえ、まだでしょうね。ギリギリまで観察して決めるんじゃないですか。」
「合格なら、桃か。」
「まあ、それも何年か先のことになるでしょう。あの方たちも、おいそれとは降りて来れない方たちですからね。」
 ニールが坊主の女房に相応しいと合格点を出したら、そのうち、あちらに拉致されるだろう。悟空が悲しまないために必要なものは、失くさせるわけにはいかないからだ。人間は、時間というものが少ない。だから、友人や知り合いは、どんどん年とともに失くしていく。悟空だって、そのことは知っているから、今の状態が永遠だとは思っていない。だが、失くすと悟空が悲しくなってしまうものは、できるだけ残しておきたいと、上司様ご一行は考えている。悟浄や八戒は、これからも一緒に過ごせるのだが、三蔵だけは人間だ。そこが問題で、三蔵は、自分の寿命分を付き合って返すつもりだが、悟空はそうしたくないと思っている。できれば、永遠とは行かないまでも、もう少し長く一緒に生きて欲しいと思っているのだ。その願いは、元保護者たちも知っていて、そうするつもりをしている。人間界の最高僧であるから、その資格はある。ただ、三蔵が連れ合いに選んだ女房ができたから、遠征して来た。連れ合いも一緒に、そうするかしないか、その価値を見極める目的もあったからだ。
「合格はするだろうけど、ママニャン本人が、どうするかだよな。」
「刹那君たちのために生きていたいとはおっしゃいますが、あの鬼畜坊主のために、とは、おっしゃいませんよね? 」
「でも、ティエニャンはさ。」
「ああ、そうでしたね。ですが、それが抑止力になるかどうかは微妙です。」
 そんなことを話していたら、庭では悟空が投げ飛ばされていた。三蔵が作った頭の制御装置が利いているから、フルパワーではないものの、さすがの捲簾でも対抗し続けるのは難しい。そろそろ、決着か、と、思っていたら、キラが何を思ったのか、捲簾の背中に飛び蹴りを叩き込んだ。油断していたらしい捲簾は、それで前へつんのめる。さらに、そこに天蓬が、ニードロップなんぞを極めているので、とうとう捲簾も転がった。
「ごくートドメは今ですよっっ。」
「やっちゃえっっ、ごくー。」
「うおっしゃーっっ。かかとおとしーーーーーっっ。」
 そして、すぐに体勢を整えて、悟空が転がった捲簾に踵落としを極めて、勝負はついた。
「こら、天蓬。おまえ、俺の味方だろーがっっ。」
「アスランくんがギブしちゃったので、キラくんとタッグを組んでみました。油断したでしょう? 捲簾。背後ががら空きでしたよ? 」
 転がった捲簾に手を貸して起き上がらせているが、言ってることは辛辣だ。ただ爽やかな笑顔は振り撒かれている。
「背中は、おまえに預けたつもりだったんだよ。」
「おや、僕は任されたつもりはありません。キラくん、悟空、よくやりました。さあ、お昼にしましょう。アスランくん、生き返りましたか? 」
 芝生に転がっているアスランは、キラと悟空に引き起こされている。ザフトの赤服様といえど、天蓬には敵わなかったらしい。急所に一発極められて、ダウンさせられていた。
「えげつないことを。」
「だって、僕が退屈じゃありませんか。」
 見ているだけなんて退屈だし、MS乗りのコーディネーターたちでは、相手に不足だ。キラの身体能力は高いのだが、インドア派では鍛えていないから、さらにへなちょこだ。これが肉弾戦タイプのコーディネーターなら、もう少し楽しいだろうというのが、天蓬の感想だ。
「午後から、歌姫の護衛とやる。あいつらは、傭兵だから、まだ骨はあるだろう。」
「ふふふふ・・それは楽しそうだ。じゃあアルコール禁止。」
「ああ? いい感じで喉が乾いてるんだ。ここはビールだろ? 」
「まあ、ビールぐらいはいいですけどね。」
 ゆっくりと観戦しているテントのほうへ戻って来ると、すでに食事の準備がされている。
「お疲れ様でした。どうぞ、ビュッフェ形式ですので、お好きなものをどうぞ。」
 歌姫様が、どうぞどうぞ、と、席を勧めてくれる。年少組は賑やかに料理の元へ走っている。こちらの席は、大人組たちばかりだから、それほど騒がしくない。金蝉も、ここで虎や鷹と談笑していた。
「ありがとう、ラクス。・・・午後から、おまえの護衛さんたちと遊ばせてくれ。」
「はい、伺っております。それが終ったら、『かくれんぼ』と『だるまさんが転んだ』をやりますから参加してくださいませ。」
「僕らも参加するんですか? 」
「ええ、私くしも参加いたしますので、どうぞ、コーディネーターの能力の確認をされればいかがですか? 」
「なるほど、五感のほうですね。・・・・捲簾、僕の分もお願いします。じゃあ、ラクス、そこいらを少し教授してください。」
 天蓬は席に座ると、立ったままの亭主に命令する。亭主のほうも慣れたもので、はいはい、と、料理を取りに行く。
「妻想いの方ですのね? 捲簾さん。」
「そりゃ、僕に惚れてますからね。」
 それ、違うぞ、と、大声で亭主は反撃していたりする。天蓬が、こういうものを取ると、なんでもぐちゃぐちゃにしてしまうから、捲簾は、それが許せないだけだ。せっかくの料理なら、ひとつずつ味わって食いたいのだ。食えれば、なんでもいいなんていうのは許せなくて、こういうことになっている。
「おまえもかっっ、金蝉。ちゃんと取り分けろっっ。」
作品名:こらぼでほすと 闖入3 作家名:篠義