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運命の人

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「クロームに調理器具を貰ってしまいましたから。・・・味、どうでしょう」
骸は自分の味覚が多分にお子様寄りなことを自覚している。反面、かなり敏感ってことに気づくのは辛いものが食べられるようになってからだろう。
今日のは、香りだけでお腹が空くような、間違いのない滋味。
食べさせる人間のことを一番に考えて作られた料理だった。
「すごくおいしい。家庭料理って感じで、安心する」
「君が引退したら、毎日でも作って差し上げます」
「引退じゃなくて、ただ辞めるんだよ。全部」
骸が瞳を見開いた。俺はなんでもないことのように、言葉を継いだ。この男に最初に話すと決めていたことを、話す。
「ボンゴレ11代目は、いらない。ボンゴレそのものがなくなるから」
いくつか会社を興して、全員が働けるかたちを整える。この世界でしか生きられないファミリーのために、同盟先を増やす。
何年かかるかわからないけれど。やり遂げてみせる。せめて大切なひとが、余計な罪を背負わないためにも。
「骸、手伝ってね。最大手のマフィアの終わりを見せてあげる」
俺を覚醒させ、ボンゴレを潰す決意をさせた最大の元凶に、抑えた声で命じる。
賢い男だ。全部分かると判るから、余計なことは言わない。
「はい」凛とした返事。もう、後には引けない。
「全部終わったら、御飯、朝でも昼でもいいから毎日作って。それで二人で食べよう。ちゃんと」
「ええ」
「どっちかが途中で死ぬのも怪我するのも、ナシ。俺のために死ぬとか、絶対許さないから」
「誰に言ってるんです?僕はそんなに殊勝に見えますか」
不敵な笑みに、上目遣いを返す。
「だってお前、俺のことそんくらい好きだろ。他に守るものがあるからやらないだけで。・・・・骸のそういうとこ、見込んでるんだからな」
「おやおや・・・・君は、僕に関してだけは自信過剰ですね」
「信用してるんだってば。いつだって助けてくれたくせに」
「僕を呼びもしない主人が、どの口で言いますか」
「無理させたくなかったって知ってて言うなよ・・・」
いつしかじゃれあいになってく会話がおかしかった。
秋晴れの空、洗濯機の音、気取らない食卓と大好きな人。
全てが平和で、なんだか夢と日常の境目にいる気さえした。
いつか言えるだろうか。
空の半ばが常に夜空であるように、いつもお前を想っていたと。
作品名:運命の人 作家名:銀杏