二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと 闖入4

INDEX|3ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

「天気予報だと、ここ数日は雨らしいですが・・・・このままですか? ニール。」
「雨が降り続いたら、それはそれで大丈夫です。明日ぐらいには、なんとか動けます。」
「でも、ひとりになっちゃいますよね? 」
 寺の住人が、女房以外外出予定だ。ひとりで、寝込んでいることになる。それって、まずいんじゃないか? と、捲簾と予報を確認して考えていた。
「たぶん、ハイネが戻って来ると思いますよ。あいつ、一応、看護士の資格があるので。」
 とりあえず、なんとか一膳食べ終えたニールが返事をする。坊主が留守をすることはあまりないので、そういう事態は少ないが、ニールがダウンしている場合、ハイネが居座っていることが多い。ハイネがいなければ、八戒が様子を見に来ているし、坊主が居れば、トダカが里へニールを拉致する。
「さっき、捲簾とも相談してたんですが、出発を一日延期しようかと思うんです。明日、様子を見て、大丈夫なら、明後日に出発ということに。」
「いや、大丈夫ですって。予定があるんだから、予定通りに動いてください。悟空も楽しみにしてるんだし。俺のほうは、なんとかなりますから。」
「そんな切羽詰った予定じゃないから、一日二日遅れても大丈夫なんですよ、ニール。会合の予定は、連絡次第なので、まだ日にちも確定してません。」
 一応、あちらの人外関係者と顔合わせはする予定だが、あちらに着いてからでいいだろうと、予定は確定させていなかった。だから、ちょっとくらいズラしたところで影響はない。
「それに、悟空が心配しちゃうでしょうしね。それは、僕らも本意ではありません。」
 一緒に遊びに出かけるのに、心配事を残したままというのは、連れ出すほうも気になる。
「急ぐ旅でもないんだし、気にするな、ニール。」
「というか、あなたの亭主、ちっとも心配しないんですが、いつも、ああなんですか? 」
 三蔵は、居間で書類とにらめっこしている。これといって、女房を心配する言動もないし、あまりにもつれない。
「朝から世話はしてもらいました。あなた方がいらっしゃるからですよ。」
「「え? 」」
 薬を飲んで、女房のほうは微笑んでいる。ちゃんと最低限の世話はしてくれるのだが、他の看護人がいると任せてしまうのだと説明すると、上司様ふたりは、あんぐりと口を開けた。
「あれが世話? 」
「誰もいなかったら世話してるんですか? 」
「はい。」
 優しい人なんですよ、と、女房に惚気られて、上司様は、へぇーと腐れ鬼畜坊主の意外な一面を垣間見たような気がした。



 いつもなら、天気予報で寺への滞在をしているはずのハイネだが、今日はラボからの呼び出しを受けていた。というのも、黒子猫が戻って来る予定だったからだ。ただし、細かい時間は不明だ。下手をすると日付変更線を越えてしまうかもしれないという曖昧さ加減だ。なんせ、黒子猫からの報告が、とっても曖昧だったからだ。アリューシャン列島というのは南北に長い列島で、そこを南下している言われても、それが、どの島のあたりなのかによって、到着時間は変ってしまうからだ。
「それで、俺はストライクで遠征? 待て待て、虎さん。」
 ついでに、黒子猫が戻ると同時に、各地の調査でストライクで放り出されることも確定していた。まあ、いいっちゃいいのだが、それに関するデータのチェックに翻弄される羽目になる。各地のレーダーサイトやら視認可能地域やらは、この間の騒ぎで多少、変っているからだ。
「年末までにチェックしてくれ。年明けぐらいに、大規模な演習がありそうなんだ。」
 アローズが演習と称して、カタロンの中東支部を攻撃するという情報が入ってきた。だから、そのためにも、現状の確認が急務になったからだ。そのデータも確認して、ハイネも是の返事はするしかない。もうちょっと、三蔵の上司様ご一行と親交を深めたかったのだが、それは無理そうだ。
「わかったよ。せつニャン、届けたら出るさ。」
「あちらさんとは、これ以上接触しても、何も進展はないだろう。」
「そういうんじゃなくてさ、興味があっただけだ。」
「手に届かないものだ。あちらの世界と俺たちの世界は違うものだ。」
 世界は広い。いろんな人種がいるし、コーディネートの有無でも分かれる。さらに、人外という括りがあり、そちらとは接触はできても、異質な世界だから実際に交わることは少ない。『吉祥富貴』は、一部交わっているが、本格的に、あちらと繋がることはない。生きている意味も社会情勢も、まったく関係がないからだ。
 そこへ、誘導ビーコンが反応した。どうやら、フリーダムが誘導波に乗ったらしい。そこからは、数時間だから、どうにか寺へ送り届けられそうだ。
「明日の深夜に出発するよ、虎さん。」
「そうしてくれ。おまえ、クリスマスまでには戻れよ。店のほうが忙しいからな。」
「へーへー人気者は忙しいなあ。虎さん、年末年始のラボの留守番は、俺がやるからさ。ダコスタはフリーでもいいぜ。」
 毎年、ラボの年末年始の留守番は、ダコスタとハイネがやっている。今年は、ニールが歌姫様に拉致される予定で、ハイネは戻るところがないからラボの留守番で、その休暇を消化するつもりだった。
「生憎だけど、ハイネ。俺も同じことを提案してますよ? 」
 ダコスタが、パネルに向いたままで笑っている。ダコスタだって、さすがに虎夫婦のところへ居候するわけにはいかないから、毎年、そういうことになっている。
「寂しい正月か? ダコスタ。たまには、プラントへ帰省してこいよ。」
「そうは言っても、ひとりには違いないし。ハイネこそ。」
「だから、同じだって。」
「おまえらも、いい加減、探せばどうなんだ? そうやって、行き場もないなんてのは寂しすぎるだろ。」
 とは言うものの、この状態で出会いは難しいのも、虎は理解している。表向きはホストで、裏でMS乗りこなしていたり諜報活動やってたりの面子に、ひっかかってくれる相手は少ないし続かない。
「俺、もうさ、本気でママニャンが性転換してくれんか、と、思うよ。あれぐらい理解のある女房は、世界広しといえどいないだろう。」
「それはわかるけど。ニールは、そんな気、微塵もないでしょう。だいたい、三蔵さんが手放さないだろうし。」
「それなんだよなあ。」
「傍目に見てても、いい夫夫なんだよなあ。」
「おまえら、そこでないものねだりしてるぐらいなら、どっかで探して来い。」
 虎は大笑いで、そう叱責する。確かに、いい女房なのだ。元々、こちらの世界にどっぷり浸かっていたから、仕事についての理解はあるし、どういう仕事をしているかも理解してくれているから、毎日、帰れなくても怒らないだろうし、帰れば、いつでも用意は準備万端にして待っていてくれる。そういう女房というのは有り難い。自分の女房も、鷹の女房も、そういう意味でもいい女房だ。ただし、寺の女房の最大の欠点は、男だということだ。それだけは、どうにも覆らない。
「職場結婚の人間はいいよな? 虎さん。」
「いや、ハイネ。うちの隊長の場合は、自分の好みに育てたって感じだ。」
作品名:こらぼでほすと 闖入4 作家名:篠義