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こらぼでほすと 闖入5

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 刹那が戻ったことは、店のほうにも連絡されていた。それなら、私が滞在しておくよ、と、トダカは言ってくれたし、年少組も空いている時間には顔を出すということになった。それなら、三蔵と悟空が留守をしても問題はない。なんせ、刹那が戻っているのだから、それだけで、ニールの体調は良くなる。
「おまえ、心配じゃないのか? 」
「だからさ、捲簾。刹那がいなかったら、延期するけど、ママは刹那がいれば元気になるんだよ。だから、いいんだ。」
「明日になりゃ判るさ。ちびが戻ってなかったら、明日も寝込んでるだろうが、ちびがいれば、あいつはご機嫌で朝から動きまくる。」
 三蔵のほうも、そう言って、延期しなくていい、と、言う。昼寝の時間は、いつもより長くなるだろうが、悟空が出かけるまでは、元気なフリができるだろう。そういうところが、女房の外面のいいところだ。
「それにさ、俺らが居たら、ママは何かと動くから、居ないほうがいいんだよ。だから、明日出発。」
 悟空に、そう言い切られると、上司様ご一行も頷かざるを得ない。悟空が心配するだろうから延期しようとしていたのだから、その当人が大丈夫と言うなら、こちらも遠慮する必要はない。
「そういうことなら、出かけましょう。」
「捲簾、チケットの手配はできるのか? 」
「今からやるさ。急ぐこともない。明日のうちに、あっちに着けたらいいだろう。それと、あちらさんにも連絡して宿を確保してもらう。・・・三蔵、おまえ、正装するか? 」
「ああ? んな、しちめんどーなことなら行かねぇーぞ。」
「三蔵だけ正装させんでもいい。こいつの気なら、すぐ判ってもらえる。」
「金蝉は甘いんですよ。まあ、いいですよ。荷物は少ないほうがいい。」
「おまえら、とりあえず荷造りしろよ。俺らはしてあるけど、ニールがダウンしてちゃあ、やってないだろ。」
 荷造りを今からさせて、とりあえずリニアのチケットやら、宿泊の手配やらしないと、と、捲簾は携帯端末を取り出して注意したが、寺の坊主とサルは、手を横に振っている。
「ママが、二、三日前に荷造りしてくれた。もしかして、宅配するかもって。」
「おまえら、うちの女房を舐めてるだろ? 」
 二週間の旅行だから、荷造りをしてくれた。いつもの本山仕様に箱に詰めようとしていたので、それは悟空が止めた。ホテルだから、洗濯してくれるから大丈夫、と、三日分をカバンに詰めてもらったのだ。坊主のほうも正装も普段使いの袈裟も用意されていたが、それは放り出して、普段着の着物とカジュアルな服にしてもらった。その旅行カバンは、ちゃんと部屋に置いてある。
「おいおい。」
「ダウンするの、ママもわかってるからさ。だから、先にやってくれてたんだ。」
 捲簾は、ツッコミをひとつして、コメカミに手を置く。どこまで、世話させてるんだよ、と、呆れたという態度だ。
「三蔵、あなた・・・本当に、ニールがいないと大変なことになりそうですね。」
「悟空もだな。おまえら、どんだけ甘やかされてるんだ? 」
「捲簾、それ、そっくり天蓬に返してやる。どうせ、こいつ、自分で荷造りなんぞしてないだろうが。」
「当たり前です。僕の世話は捲簾の楽しみなんだから、奪うわけにはいきません。」
「俺は趣味でやってるからいいんだよ。おまえんとことは違う。」
 いや、捲簾とニールは似ていると、金蝉は呟いている。どっちも、相手がどうしようもないから、ついつい手を出しているのだから、同じことだ。
「うちのもそうだ。俺の世話が趣味なんだよ。」
「うん、そうなんだ。うちのママさ、すっげぇー世話好きだからさ。三蔵の我侭に、笑顔で対応してんだよ。」
 悟空が、うんうんと腕組みして頷いている。日々の姿を思い出しているらしい。他所様の家庭事情だから、口を挟むものではないのだが、金蝉ですら、溜め息をつく。傍若無人なマイノリティー驀進坊主に、そんな世話をしてしまったら、益々、マイノリティーに磨きがかかる。
「ニールが行けなくて残念たったな、三蔵。」
「いや、黒ちびが戻ってきたから、ちょうどいいんだ。あいつ、黒ちびのことが一番気にかかってるからな。ゆっくり過ごせていいだろう。」
 寺の住人がいなければ、黒子猫とのんびり過ごせる。トダカや年少組が居ても、バイトや学校、仕事があるから常時、寺に居るわけではないから、黒子猫と二人っきりで話もできるはずだ。
「刹那は、年末ぐらいまで居てくれるのかな。年越しは一緒にしたいんだけど。」
「さあな。年末は桃色子猫の番じゃなかったか? サル。」
「あ、そうだった。」
「桃色子猫っていうのも、ニールの連れ子ですか?」
「うん、フェルトっていうんだけど、一番年下なんだ。」
 悟空にしても、可愛い妹分だ。三蔵も、フェルトのことは可愛がっている。年末に降りて来る予定だと言っていた。予定は未定なのだが、できれば顔合わせはしたいと思っている。何より、ニールが顔を見たいと漏らしていた。もしかしたら、降りて来られないかもしれないと危惧しているからだ。
「その子も、テロリストちゃんですか? 悟空。」
「おう、立派なテロリストだぜ、天蓬。MS乗りじゃないけど、母艦のオペレーターやってるんだ。」
「そんな小さな子がテロリスト? 世も末ですね。」
「そうかな。フェルトは、世界を変えたいから参加してるんだ。大きい小さいは関係ないじゃん。」
「もしかして、ニールの連れ子って、みんな、小さい子なんですか? 」
「アレハレルヤは、キラと同い年で、ティエリアは刹那と一緒ぐらいだな。キラが大戦に巻き込まれたのも、フェルトぐらいだったから、小さくはないんじゃないか?」
 キラが大戦に巻き込まれたのも、十代半場といったところだ。そう考えれば、幼い年齢ということはない。世界を変えたいから、戦うことに参加している。それについては、悟空は反対するつもりはない。誰だって、願うものがある。それを手にするには、それなりの努力が必要だ。キラとラクスは、護りたい場所と意思を固めて、『吉祥富貴』を作った。世界そのものを変えようとは思っていないが、刹那たちには賛同している。だから、助力もするし救助もするのだ。悟空は、それに参加しないが、日常方面でのフォローはしているつもりだ。
「悟空、おまえは戦おうとは思わないのか? 」
「俺は、キラたちと同じことをするつもりはないよ、金蝉。俺は俺のできることで協力するけどさ。MSなんて乗ろうと思わない。」
 できないことはないだろうが、やはり、悟空は電脳世界なんてものの中で戦う気はない。そちらはキラに任せている。自分たちの持ち場は、対人間だ。対MSまで手を広げるつもりはない。
「そうか、それならいい。」
「金蝉、俺、わかってるからな。手を出しちゃいけないとこは理解してる。」
作品名:こらぼでほすと 闖入5 作家名:篠義