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こらぼでほすと 闖入5

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 神仙界の関係者が、人間界に深く関わりを持つのは、いろいろと障りがある。そこいらは、悟空も解っているし、三蔵たちも、弁えている。できる範囲のことで、というのが前提だ。キラたちも、そこいらは理解しているから、それ以上の協力は頼まない。なんとなく、そういう信頼関係ができているので、どちらも深く入り込もうとはしていない。
「それならいい。」
「おう。・・あ・刹那は、もう寝たかな。ちょっと様子、見てくる。」
 悟空は、刹那も弟分として可愛がっている。戻っているなら、声ぐらいかけておこうと廊下へ走り出した。
「連れ子同士も仲がいいんですね? 三蔵。」
「サルにとっちゃ、弟妹ができたって感覚なんだろう。年に何度か顔を合わせてるし、いい友達ができたってとこだ。」
「まあなあ、俺らの中じゃ一番年下って感覚だからな。世話焼いてやれるっていうのが楽しいんだろうな。・・・・リニアは午後一番のが取れた。」
 捲簾のほうは携帯端末で、リニアの予約を取り終えて、やれやれと会話に参加してくる。宿泊のほうは、メールをしておいたので、明日にでも連絡があるだろう。




 翌朝、いつものように坊主が本堂で朝のお勤めをしていると、脇部屋の障子が開いて、女房が顔を出した。視線で挨拶だけして、回廊を降りていく。黒子猫は、まだ起きていないらしく、女房だけだ。ほら、見ろ、と、坊主は頬を歪めつつ読経を始める。いつもなら、長雨で、そのまんまダウンしているが、黒子猫が帰ってきたから、さくさくと動き出している。


「ワカメと豆腐にしろ。」
「はいはい。・・・・本当に、袈裟はいらないんですか? 宅配しますよ? 」
「そんな堅苦しいことはないからいらん。おい、納豆は? 」
「まだ、誰も起きてないのに・・・先に食べるつもりですか? 」
「人数分あるのか? 」
「ありますよ。だし巻き卵もしましょうか?」
「おう。」
「・・・うーん、他は何にしようかなあ。干物でも焼いておくか。」
「捲簾が、なんかいろいろと作ってただろ。あれ、出しておけばいい。あんまり動くな。」 「わかってますよ。あんたたちが出発したら、横になります。そう心配しなくても、身体は楽になってます。」
「おまえの楽は基準がおかしいんだ。・・・おら、おまえも茶ぐらい飲め。」
「支度の最中に、無茶を言う。」
「うるせぇー座れ。」
 朝一番に起き出してきた金蝉は、台所でいちゃこらと会話している寺の夫夫に口が挟めなくて立ち尽くす。おまえら、それで夫夫じゃないって全否定してることがおかしいだろう、と、ツッコミのひとつも入れたくなる光景だ。亭主は食卓の椅子に座って、楽しそうに、とやかく命じているし、女房のほうも、適当に相槌を打ちながら朝の支度をしている。こいつら、桃食わせてもいいだろう。いっそのこと、本山へ拉致しても文句はないんじゃないだろうか、と、ちと悩んでいたら、背後から悟空がやってくる。童子様に挨拶すると、台所へ顔を出す。
「ママッッ、何やってんだよっっ。俺がするってっっ。」
「もう、粗方できてるぜ、悟空。昨日はごめんな。」
「別にいつものことじゃん。・・・・いくら、刹那がいるからって、あんま働いてたらダウンすんぞ。」
「大丈夫、大丈夫。長雨らしいから、気圧も安定してんだよ。・・・・荷物の変更はないか? 」
「ないよ。ほら、ママも座りなよ。出かけるの、午後前だからさ、時間あるんだ。」
「そうなのか? ・・ああ、金蝉さん、おはようございます。」
 ようやく、金蝉の姿に気付いたニールが挨拶をする。ほら、あっちへ行ってください、と、坊主を台所から追い出している。目覚めのお茶でも、と、卓袱台にお茶が置かれる。慌てることもないから、全員が、そこで一服なんてことになっている。
「大丈夫なのか? ニール。」
「ああ、大丈夫です。大袈裟なんですよ、うちの人たちは。悟空、刹那を起こしてきてくれ。」
「いいじゃん、刹那も疲れてるんだから寝かせておいてやりなよ。」
「食事は全員揃ってるほうがいよ。」
 居間の隣りにある客間も物音がしているから、そろそろ、捲簾と天蓬も起きてくるだろう。それなら、揃って食事するほうがいい、と、命じられると悟空も動く。
 ほどなく、黒子猫は走ってきたが、親猫の背中にカバチョと抱きつく。冬仕様のパジャマとはいえ、それだけでは寒いらしい。
「刹那、『おはようございます』 は? 」
 前に回された黒子猫の手を叩いて、まずはニールが朝の挨拶をさせる。それから、「半纏と靴下があっただろ? それも着けて顔洗って来い。」 と、命じて立ち上がる。悟空は台所へニールと行って、準備していたものを運ぶ。定番の朝ごはんが並べられると、捲簾天蓬夫夫も顔を出した。
「本当に復活してるのか。」
「なるほど、悟空の言う意味はわかりましたよ。」
 きちんとした朝の食事が並んでいて、ニールは機嫌がいいのか、微笑んだ顔だ。全員が揃うと、食事が始まる。
「出かける前に、こたつとかヒーターとか出しておくから、刹那、手伝え。」
「了解した。」
「それから、毛布とかは客間の押入れにあるから、ママが居間で昼寝したらかけてやれよ? 風邪引かせると大変だからな。」
「わかった。場所だけ教えてくれ。」
 食事をしながら、悟空のほうが刹那に向かって、用件とかニールの近況なんかを説明している。バトンタッチになるから、申し送りがいろいろとあるらしい。刹那のほうも真面目に、それは聞いて頷いている。
「そんなの、こっちでやっておくからさ。」
「だあーめっっ。ママは、勿体無いって、自分だけだとヒーターもつけないじゃん。」
「それより、悟空の服借りてもいいか? 刹那の冬物は、マンションなんだ。」
「ああ、いいぜ。俺よりちっこいから大丈夫だよな? おかわり。」
 何事もなければ、マンションに冬物を取りに行けばいいのだが、さすがに、そこまで体調はよくない。天候が安定してくるまでは、悟空の服を借りることにした。刹那のほうが、悟空よりひとまわり小さいから、問題はない。
 悟空のおかわりをよそい、さらに、坊主が差し出している味噌汁椀に、味噌汁を注ぎ、さらに、黒子猫の干物の骨を外してやっていたりするわけで、ニールは食べている暇があるのか? と、上司様は尋ねたくなる。
「おまえも食え。サル、飯ぐらい自分でよそえっっ。黒ちび、骨も食え。」
 で、坊主は自分が食べ終わると、そうやって女房のほうを食べられるように命じる。はいはい、と、女房のほうも、いつものことなのか、ようやく箸を手にする。ここの日常風景は、概ね、こういうものらしい。毎日、こんな感じだが、黒子猫が戻ると、余計に手をかけている。普通の亭主関白な夫と過保護な女房と二人の息子の食事風景に見える。
「刹那、骨は食べなくていいからっっ。気に入ったんなら、俺のを食え。」
「おまえが、そうやって甘やかすから、黒ちびは大きくならねぇーんだよっっ。骨はカルシウムがあるんだ。」
「小骨は食べさせてますよ。・・・ああっ、刹那。真ん中の骨は硬いからやめろって。」
作品名:こらぼでほすと 闖入5 作家名:篠義