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こらぼでほすと 闖入5

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 ゼミとゼミ関連の授業だけだから、時間の余裕はある。元々、レイは、上司様ご一行の世話の手伝いで、こちらに居座っていたから、問題はない。ニールの脇部屋には、そんなわけでレイの衣服も置かれている。
「でも、私とおまえたちじゃ出勤時間も違うけど、クルマを使うつもりかい? 」
 出勤からして、トダカとシンとレイでは時間が違う。帰りも、トダカのほうが早かったりする。
「うんにゃ、雨のうちはクルマを使うけど、晴れたら本宅からバイクを借りてこようと思ってんだ。あれなら、移動時間も読めるし、行き来が楽だからさ。」
 シンとレイも、『吉祥富貴』からクルマも貸与されているが、二人で一台だから移動するのに、いちいちクルマを使うのは面倒だ。歌姫様の本宅にあるバイクを二台借りて、移動手段にすることにした。それなら、学校へも店へも移動は楽だし、シンとレイも別行動が出来る。それなら、各人の空き時間も有効利用できるという算段だ。シンとレイも未成年枠は卒業しているが、店のお客様は無理に飲ませるような下品のお客様はいない。適当に、ノンアルコールで乗り切れば、飲酒運転にはならないのも計算済みだ。
「それならいいさ。」
「ねーさん、具合はいいのか? とーさん。」
「まあ、そこそこいいんじゃないか。刹那君が帰っているからね。」
「そうですね。刹那が戻ってくれてよかった。」
 タイミングはバッチリだった。雨でも動けているのは、刹那が居るからだ。いなければ、本宅へでも押し込めたいところだが、どうにか調子は維持できているので、レイもほっとする。
「一月ぐらいは居てくれるといいんだが・・・」
「うーん、どうだろう。フェルトが年末から年越しするって言ってたからなあ。微妙なとこだな。」
「だが、シン。フェルトが降りてこられないこともあるんだぞ。その場合、刹那には居座ってもらいたい。」
 予定では、年末から年始に、桃色子猫が降りてくる予定にはなっているのだが、組織が再始動までのカウントダウンに入っているので、それも定かではない。それなら、刹那に年越ししてもらったほうがいいと、レイも考えている。
「あいつも予定あるんだろうからなあ。」
 世界の歪みを確認する旅を刹那はしている。それが終らないと、組織には戻れないと、刹那は言っている。再始動に間に合わせるとなれば、時間は限られてくるのも事実だ。シンやレイが世界情勢を鑑みても、組織は再始動の方向に向いている。どう考えても、マトモな平和ではないからだ。
「アローズが、もうちょっと穏便にやってくれれば、再始動もないんだろうけど。」
 この間、見せられた映像は、とても穏便なものではなかった。あれが、各地で繰り広げられているなら、もう一度、連邦は解体するべきだろう。それは、『吉祥富貴』でも結論されたことだ。




 予定通りに店が終って、シンとレイもトダカと一緒に寺へ帰宅した。お客様が少なければ、同じ時間に上がれる。帰って来ると、ニールがひょっこりと居間から顔を出す。
「おかえりなさい。先に風呂にしますか? 晩酌の用意もしてありますけど。 」
「ニール? 」
 動くな、と、言っているのに、いろいろと動いたらしい。居間に入れば、ちゃんとトダカの晩酌用の肴が用意されている。こらこら、と、トダカは嗜めるために、眉間に皺を寄せるが、「大したことはしてません。」 と、トダカの娘さんは手を横に振っている。
「ねーさん、無理すんなよ。」
 シンも叱っているが、まあまあと逆に宥められている。レイが隣りの客間の襖を開ければ、ちゃんと布団もセッティングされているし、パジャマも枕元に置かれている。
「レイ、それは刹那がやってくれたんだ。俺じゃない。」
 注意されるのを見越して、先にニールがレイに声をかける。昼寝して、刹那の食事をさせるのに、ついでに用意しただけだから、と、言う。
「明日の朝の段取りだけしといたから、後は頼むな? レイ。起きられなかったら、適当にしてくれ。」
「そんなことは、俺がやります、ママ。」
「天気になったら、弁当もするから入り用なら言ってくれ。」
 さすがに、早起きして弁当を作成するまでの元気はないらしい。まあ、多少の家事はさせたほうがいいだろうから、レイも頷いておくことにした。
「じゃあ、先に風呂に入れてもらうよ。」
 トダカも、小言は早々に引っ込めて、風呂の支度をする。さっさと入らないと、後がつかえている。
「刹那は? 」
「寝てる。やっぱり疲れてるんだろうな。風呂に入ったらバタンキューだったよ。」
 過酷な旅をしている黒子猫も、親猫の傍で気が抜けているのか、一緒に横になったら、そのまま熟睡してしまった。こっそりと、親猫は起き出して、トダカたちの出迎えをしている。だから、パジャマに半纏をひっかけた格好だ。
「シン、レイ、おなかは空いてないのか? 晩御飯のシチューあるぞ。」
「ちょっと食おうかな。」
「シン、先に風呂だ。」
「ああ、そうだな。面倒だから、俺らもとーさんと一緒に入ろうぜ、レイ。」
「わかった。ママ、先に入ります。」
「うん、準備しておく。ちゃんと温まらないと風邪ひくからな。」
 結局、なんだかんだと世話をされてしまう。それが嬉しくて、ついつい甘えてしまうのも事実だ。
 先に上がってきたトダカに冷酒を用意して渡すと、トダカも苦笑する。
「私が、ダメ人間になったら、娘さんの所為だから世話してもらわないと困りそうだ。」
「はいはい、させてもらいますよ。肴足りますか? 干物でも焼きましょうか? トダカさん。」
 いろんなものを冷凍庫で保存しているから、簡単な肴といっても何品かは並んでいる。家で晩酌している時は、面倒だったら塩を舐めている生粋の酒飲みなトダカだと多いくらいの肴だ。
「これで十分だ。三蔵さんにも、これぐらい用意しているのかい? 娘さん。」
「そうですね。三蔵さんは、ビールだとアテはいらないんですけど、焼酎は何かしら口にして呑みたいらしいんで。」
 それで、毎日、こうやって酒のアテを並べてもらっているのだから、そりゃ過激な世話だ、と、トダカでも思う。
「私は塩だけでもいいんだよ。」
「でも、シンとレイも相伴するなら必要でしょ? くくくくく・・・こういうの、トダカさん、好きですよね。」
 普段は、一人で晩酌しているが、シンやレイが家に来れば、とてもご機嫌で呑んでいる。トダカだって、誰かとわいわい呑むのも好きだ。寺に滞在していれば、シンとレイも一緒だから、毎晩こういう楽しみが味わえる。ニールは、それを知っているから、多目の酒のアテを用意していた。
「やれやれ、うちの娘さんは、私の楽しみなんてものにも気付いたのかい。」
「そりゃ、一緒に暮らしてればわかりますよ。」
「たまにだから楽しいんだよ。毎晩はいらないなあ。きみとのんびりと話すのも、私には楽しいんだ。」
「もちろん、俺も付き合いますよ? 量は無理だから、それはレイとやってください。俺とシンはウーロン茶で。」
「まあ、お湯割りにして付き合いなさい、娘さん。それなら温まるから寝るにはいい。」
作品名:こらぼでほすと 闖入5 作家名:篠義