犀と歩く
7
てくてくと廃線跡を辿るように二人は歩いた。その先に湖があるとカヲルは宝の隠し場所を教えるように小さく耳元で囁いたのだ。
牧草地を踏みしめ、今にも崩れそうなトンネルを抜け、じぐざくの経路を越えるために山を登った。
生まれてからここまでの距離や時間を歩いたことがない。いつの間にか靴ずれを起こしていたが、用意周到にも持っていた絆創膏を自らカヲルが貼ってくれ、難を凌いだ。それでも歩を進めれば進めるほど、爪先や土踏まずまで痛んできた。
顔には出していないつもりだったが、きっと見透かされていたのだろう。
夜を待つ前に、「ここで休もう」と廃屋同然の駅舎を指差して彼が微笑んだ。