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こらぼでほすと 闖入6

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「全然、メールもないですよ、八戒さん。・・・それより、経理のほうなんですが、夜間金庫に入金するのと、データ入力ぐらいでいいですか? 他にやっとくことは?」
 『吉祥富貴』の経理部長が留守をするので、二番手のニールが、それを担当する。大概、そこいらの用件だけだが、他にあれば、と、尋ねた。
「入金はアスランに頼んでますから、ニールはデータ入力と業者の支払いのほうをお願いします。うちのスタッフの立替は預かるだけで、支払いは止めておいて下さい。」
「了解。」
 とりあえず洗濯が出来た分を干してしまうと、ニールも戻って来る。雨でシーツなんかの大物は放置していたから、洗濯機もフル稼働しているが、洗い上がるまで、少し時間がある。
「時間は大丈夫なんですか? 」
「ああ、まだ慌てることはない。リニアの予約はしてないんだ。ウィークデーだからさ、適当にチケット買って行くつもりだ。」
「じゃあ、お茶でもいかがです? 」
「そういえば、刹那君は? 」
 居間には、トダカがいるだけで、黒子猫の姿がない。いつもべったりしているのに、珍しいことだ。
「今、ロードワークで近所を走ってます。あいつも、雨で動けなかったので。」
 昨日、ラクスが、いい紅茶を置いていってくれたんですよ、と、ニールは戻ってきて、台所で準備する。トダカとも、経理のほうの打ち合わせをして、沙・猪家夫夫もこたつに足を入れた。慌てることはない。本日中に、特区の西に辿り着けばいいだけなので、こちらも気楽なものだ。
 用意された紅茶を四人で、ずずっと飲んで、まったりとする。確かに、いい香りの茶葉だ。
「三蔵に伝言とかありますか? ニール。」
「うーん、これといってはないかなあ。」
「そこは、『逢えなくて寂しい。』とか言ってやれよ。」
「別に、寂しくないし。うちは、悟浄さんとこみたいなことは、考えたこともないんですが?」
 どっちも、そういう気分になったことがない。いなければいないで、そういうもんだという感じだ。三蔵は、女房がいないと不機嫌になるが、それも、自分でやるのが面倒だからであって、ニール当人に会えないからではない。いれば、いちゃこらしているが、それも、寺夫婦は無意識のことだ。
「俺、こいつの顔を二週間も見ないとか在り得ないけどな。」
「へぇー悟浄は、そうなんですか。僕は、別に構いませんけどね。」
「冷たいことを、さらりと言いやがったな? そんなにツンツンしなくてもいいんじゃないのぉ? 八戒さん。」
 自分の女房がツンデレ仕様だから、言われている亭主は苦笑するぐらいだ。実際、そういうことがあったら、どちらも寂しいとは思う。長いこと離れていることがないから、平気で、そう言えるが、離れることがあったら、どちらかに、何かあった時だから、動けるほうが逢いに行くことになる、とは、考えている。
「うちの亭主、たまに乙女なんですよ、ニール。」
「あははは・・・ごちそうさまです。」
「これから天気もいいみたいだけど、無理はしないでくださいね。データ入力なんて、少しぐらい溜めても大丈夫ですから。トダカさん、監視してください。」
「そちらは、任せてくれ、八戒さん。年少組と刹那くんが、ぎっちり監視してくれるはずだ。」
 店の繁忙期なんかだと、十日そこいらは溜めていたのだから、処理が遅くなっても、後から追い駆けられる。業者の支払いだって、現金払いするようなことはないから、毎日、生真面目にやっていただかなくてもいいのだ。そこいらは、トダカも解っているから、はいはいと頷いている。
「羽伸ばして、ちびにゃんと遊んでればいいさ。三蔵たちだって、仕事ってより食い倒れツアーのほうがメインなんだから。」
「悟空が、毎日、メールくれるんですが、食べ物の画像ばっかりですよ。珍しいのがあるみたいで、楽しそうですよ? 」
「そりゃもう、あいつら、グルメマップ買って研究してたからなあ。」
 上司様たちは、悟空と遊ぶのが楽しみだったから、悟空の気に入りそうなグルメもチェックを怠っていない。出歩いて、そういうものを制覇しているはずだ。
「悟浄さんたちも楽しんできてください。」
「いや、俺らは、奴隷っていうか、添乗員っていうか、そういうもんだぜ? ニール。たぶん、今は捲簾が仕切ってるだろうけど、俺らが行けば、俺らの仕事だ。なあ? 」
 となりの女房に、悟浄が同意を求めると、女房のほうも、まーねーと苦笑して頷く。特区に詳しくない上司様たちは、特区に在住の沙・猪家夫夫が出向いたら、仕切りは丸投げしてくる。こればかりはしょうがないと、沙・猪家夫夫も諦めている。雑用は、こちらに任せて、存分にサルと坊主を構い倒したいのは解るからだ。
「たまにいらっしゃったんだから、それぐらいはしてさしあげませんとね。悟空が、こっちに住み着いて寂しい思いをしてらっしゃるんだから。」
 年に二週間。それも、フルタイムではないし、一年に一度しか逢えないから、上司様たちも寂しい思いをしている。できれば、上司様たちは、悟空に本山で暮らして欲しいとは思っている。だが、悟空の将来的には、特区での経験や知識も必要だと思うから、取り戻すようなことはしていない。五百年を経て、三蔵が悟空を拾ったことで立場が変ってしまった。保護者ではなくて、元保護者だから、しゃしゃり出てくるような真似はしたくないらしい。そのうち、三蔵の寿命如何で、本山へ戻ることになるのは決まっているから、それを気長に待っている。ただし、悟空が、三蔵との縁を失くしたくないと願えば、それも叶えるつもりだ。そこいらの事情は、沙・猪家夫夫も知っているから、こういう場合、手伝いはさせてもらおうと思う。普段は、遠慮して見守っているのだから、遠征してきた時ぐらい楽しめばいいと思うからだ。三蔵のほうも、それを知っているから、文句を言いつつ付き合っている。


特区は、今のところ平穏な空気が漂っている。情報統制されているので、不穏なものはカーテンの向うに隠されているからだ。アローズの母体はユニオンだが、地球連合としての組織に纏められているので、三大国家群にも、アローズの組織が拡大していく。独立治安維持部隊としての側面と、テロリストやテロ組織の捕獲殲滅という情報部隊の側面の両方が出揃ってきた。それらを確認して、情報の解析をするのが、ラボの仕事になりつつある。機体の整備より、そちらの仕事のほうが重要だから、キラとアスランがメインになって、それを進めている。まだ、今のところ、歌姫様は、連合と友好的な関係だから、アローズからの追求はない。
「でも、ヴェーダちゃんと生体端末は、うちをチェックはしてるんだよね。」
 ラボのマザーに、ちまちまとアクセスしてくるのは、ヴェーダと、その生体端末たちで、深層部への侵入はされていないが、こちらの動きを把握しようとしているのは、すでに判明している。
「それは仕方がないだろう。うちからアクセスしているのも気付いているんだろうからな。」
作品名:こらぼでほすと 闖入6 作家名:篠義