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【亜種】ある雨の日、猫を拾った。

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「まあ、その客が今のマスターって訳だ。あいつは、「初期化はしない。改造してくれ」の一点張りだったらしい。初期化した方が早いし、金も掛からないんだけどな。何だか知らないけれど、それだけは嫌がるんだ」

アカイトは手を伸ばし、大人しく聞いているいろはの頭を撫でる。

「俺も壊れてるんだ。だから、気にするな」

いろはは、じっとアカイトの髪に目を注いで、

「アカイトさんは、壊れていないですよ」
「え?」
「アカイトさんは、ちゃんと笑ったり怒ったり出来ます。マスターの言うことも、理解しています。アカイトさんは「カイト」ではないけれど、壊れてはいないと思います。それに」

一度口を閉ざすと、少し考えてから、

「私は、アカイトさんの髪の色が、好きです」
「え、あっ」
「アカイトさん、顔が赤いですよ」
「なっ!」

いろはに言われて、アカイトは慌てていろはの目を塞ぐ。

「何も見えません」
「み、見なくていい!!」
「はい」

大人しく従ういろはに、アカイトは真っ赤になりながら、

「ありがとうな」

ぽつりと言った。