【亜種】ある雨の日、猫を拾った。
いろはは、アカイトを見上げると、
「アカイトさんは、優しいですね」
「ん?そうか?」
「はい。私は、アカイトさんが好きです」
「はっ!?なっ!」
いきなりの告白に、アカイトは耳まで真っ赤になった。
「アカイトさん、顔が」
「み、見るな!!」
「はい」
アカイトが慌てていろはの目を塞ぐと、いろはは大人しく従う。
夕焼けが部屋の中をオレンジ色に染める中、アカイトが手を外しても、いろははまだ目をつぶっていた。
「・・・・・・・・・・・・」
アカイトは、屈みこんでいろはの髪に口づけると、そっと抱きしめる。
「アカイトさん?」
「まだ目をつぶってろ」
「はい」
口を開きかけてはまた閉じるを繰り返し、アカイトは黙ったまま、いろはに回した腕に力を込めた。
作品名:【亜種】ある雨の日、猫を拾った。 作家名:シャオ