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永遠に失われしもの 第15章

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聴取室で目の前に座る中年の女性に、
 ラウル刑事はコーヒーを勧めた。



(夜盗に銀の鍵の首飾りを盗まれたのかと
 初め考えていたが、
 それがアルトゥール公爵自体の差し金なら
 銀の鍵の守り手の彼が盗ませる筈もない。

 カールが兄から奪い取って?)



「カール様は、レオ・アウグスト様を、
 大変お可愛がりになり・・」



 またシモーヌと名乗る女性の言葉が、
 不意に途切れて、
 ラウルは、彼女が何か言いにくそうにしているのに気がついた。



「大丈夫です。
 貴方のご意向があれば、
 捜査資料には残しません。
 何でも話してくださって結構ですよ」



 シモーヌは暫く考えに耽った顔をした後、
 再び語り始めようとしたが、
 やはりためらっている。



「可愛がってどうしたというのです?」

 

 ラウルの脳裏には偽者だと知っていても、
 レオ・アウグスト・オレイニクの名前
を名乗った、あの美しい少年が浮かぶ。
 エット−レ卿の趣味も同時に想起して、
 ラウル刑事は尋ねる。
 


「精神的のみならず
 肉体的にも『可愛がった』とでも?」



 驚きでぱっと見開いた女の目を見て、
 ラウル刑事は瞬時に、
 それが正解だったことを知った。
 


「そうなのですね?」



 こくんと、目の前の女性は頷く。



「それは・・・大変な醜聞になるでしょうね
 もし世間に知れたら・・

 ただでさえ、同性の・・
 まして叔父と甥などと・・
 しかも相手はまだ年も・・」



 答えを当てておきながら、
 ラウル刑事は今更ながらに、
 その事の淫猥さに驚愕していた。



「カール様が、レオ様と暮らし始めた当初は
 そうではありませんでした。

 が・・・
 レオ様が十歳を超えた頃からですか、
 次第に・・」



「成る程、少年が成長していく毎に、
 彼の欲望が膨らんできたという訳ですか」



「いえ・・
 ああ、こんな事を申し上げるのは、
 私からでは・・」



 目の前のつましやかそうな女性は、
 既に瞳にうっすらと涙をためている。



「もう無理しなくて結構ですよ
 カールとレオの関係はつかめましたから。

 きっとレオ・アウグスト・オレイニクは
 さぞかし美少年だったのでしょうね」


「ええ・・この世の物とは思われぬ程・・
 綺麗なんて生易しい表現では、とても」


「なるほど、分かります」


「いえ・・刑事さんは何もお分かりに
 なっていらっしゃらない・・

 あの方々の関係は・・
 まさに悪魔の所業です。」



 ・・この女性は大変敬虔なクリスチャンで
 そのような行為が全くもって
 許せないのであろう。

 ・・自分とて卿の殺人事件で、
 あの青碧眼の美少年と
 紅茶色の瞳の美貌の執事に出会うまでは、
 そのような事は嫌悪していたはずだ。

 しかし今はそのような気持ちを催すことが
 全く理解できない訳ではない。

 究極の美しいものに恋焦がれてしまう気持ちは、なんとなく自分にも理解できる。
 ただ自分には、
 そんな機会や勇気がないだけで・・
 


 中年女性の涙を見つめながら、
 そんな事を考えていたラウル刑事は、
 女の発言に自分の耳を疑った。



「年端もいかない・・レオ様のほうが、
 時間をたっぷりかけて、
 カール様を誘ったのです・・」