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永遠に失われしもの 第15章

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食後酒としてグラッパを、
 小さなグラスに注ぎレモンと一緒に、
 ウィルと葬儀屋に出した後

 セバスチャンはシエルの元に跪き、
 だらりと椅子から下がった腕を自分の肩に
 のせ、片腕を細いその腰に回し、
 もう片方の手で首の後ろを支えて、
 ゆっくりと自分の方に引き寄せ、
 抱え上げる。



「それではごゆっくり、
 私は、ぼっちゃんを広間に
 お連れいたします」


 
 すかさずウィルが立ち上がり後を追う。
 その様子を葬儀屋が笑って見ている。

 広間の寝椅子に再びシエルを戻して、
 セバスチャンが溜息をつきながら呟く。



「全く不粋なお方ですね、貴方って人は。
 ぼっちゃんの食事がまだなのです。

 本当に出て行って貰えませんか?」


「できませんね」


「ドアを開けておきますから、せめて廊下で
 待っていてください、気が散ります」


「駄目です。デスサイズが届きません」


「じゃあ、決して邪魔しないでくださいね。
 ごちゃごちゃ言うのも無しですよ。
 
 これ以上ぼっちゃんの体力が落ちては、
 あれに乗っ取られてしまいかねないので」


「あれって何ですか?」


「すぐに貴方にもわかります。
 
 では−−
 嫌だったら、中庭でも見ててください」



 ウィルは中庭に神経を集中しようと努め、
 花の種類を思い出そうとしたり、
 飛び交う蝶の名前を記憶の底から、
 引っ張りだしたりしているうちに、
 中庭の窓ガラスに、
 二人の姿が映っていることに気がついた。

 

(中庭を見たって駄目じゃないですか!)



 鮮明に映ってるわけではないが、それでも
 十分過ぎるほど淫靡で濃厚な口接を
 している様子ははっきり分かり、
 ウィルを苛立たせる。
 が、一番彼を不快にさせてることは、
 自分がその光景に魅了されて、
 目を離せないでいることだった。



「もういいですよ」



 セバスチャンが声をかける前から、
 ウィルにはもう終わっていることは
 分かっていたが、それを絶対に、
 この漆黒の悪魔だけには知られたくない。
 振り返ったウィルにたいして、
 セバスチャンは不敵な微笑をして言った。



「貴方に覗きの趣味があったとは、
 それも意外でした」



 事も無げにセバスチャンは、
 ウィルに向かって言う。
 ウィルは打ち消そうとするが、
 何も言葉が浮かばない。



「見ていらしたんでしょう?ずっと」



(この悪魔め、気づいててわざと・・)



「やはりアナタは悪魔ですね」


 
 デスサイズで突き殺してやりたい気持ちを
 抑えつつ、ウィルが冷ややかに言う。



「ええ、それ以外の何者でもありませんよ」


「面白いねぇ...二人を一緒に一定時間、
 置いておくと、必ず険悪になっていて..」



 ヒヒヒと笑いながら、ふらふらと葬儀屋が、
 広間に入ってくる。



「それでもうそろそろ、
 時間が近づいてきたけど、どこなんだい?
 シモーヌ・カサーレの死亡予定場所は」