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永遠に失われしもの 第15章

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 色々なところから同時に声が聞こえる。

 同時に何箇所にも存在するかのように、
 様々なものが僕を通過していく。

 ほとんど全ては意味を成さない。
 ただ二つの世界を除いては。

 同じ漆黒の髪と紅茶色の瞳の者がいる世界
 を除いては。



 途切れ途切れに聞こえてくる
 セバスチャンの声・・・

 優しければ僕を『抱く』だと?
 正気か?・・・



 (広間の寝椅子にセバスチャンと同じ顔を
  した少年が横たわっている)
 **************************


 少年は成長して、さらにセバスチャンに
 似ていた。 
 相変わらず細く線が華奢ではあるが、
 背は顔から受ける印象に比べれば、
 高いほうなのだろう。
 
 15〜6歳といったところか・・

 金髪の貴族の身なりをした男が、
 少年に近づいて、手や足を動かして、
 位置を調整している。

 少年はまるでマネキンのように、
 置かされた位置から、一ミリたりとも
 動かない。

 
 金髪の男は、パレットと画筆を両手に
 カンバスに向かっていった。

 また男はそれらを置いて、
 少年の顔の位置を修正に行く。


 男がまた、白いシャツのボタンに
 手をかけようとすると、バネ仕掛けの様に
 少年がその手を叩きはねのける。
 
 その紅茶色の瞳を見て男は、セバスチャン
 に似た少年の、両耳脇をつかみ唇を重ね、
 下半身に身につけていたものを脱がせていくが、
 今度は何も抵抗もしないで為すがままに
 させている。

 男が機械的な動きを始めても、
 少年は虚空を見つめるような眼差しで、
 息ひとつ荒立てない。

 男が指を、少年の唇に当てこじ開け、
 口中を自由にもて遊び、最後に少年の胸の
 上にぐったりと頭を乗せていても、
 最初から何事もなかったかのように、 
 ただそこに横たわっている。


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