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【Secretシリーズ 5 】 後日談

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2.

やっと、ハーマイオニーの地獄の尋問から戻ってきたハリーは、ドアを開けて思わずつぶやいた。
「うわっ、狭いなー。しかも、こんな狭い部屋になんで、ベッドがふたつも入っているんだ?!」
「しょうがないだろ、僕が帰ってくるなんて、予定になかったんだから」
片一方のベッドに座り、おとなしく本を読んでいたドラコは顔を上げて答える。

「さっき、ウィーズリーたちが運んできてくれたんだ」
「へぇー………そうなんだ」
ドラコは本をバタンと閉じた。

「でも、心配することはない。明日になったら、別に僕の部屋を用意してくれるらしいから、今日一日の我慢だ。もともと一人用の部屋だったからこんなに狭いけど、このベッドのひとつがなくなれば、君も快適に過ごせるはずだ」
「ええ゛っ!ドラコは別の部屋になるの?!」
当たり前のようにドラコは頷く。

「だって、僕たち結婚し――、イテーッ!!」
すべてを言い終わらないうちに、ドラコは容赦なくハリーの頭を叩いた。

「同性婚はこの魔法界では、一切ないんだ。いいか、分かったな。ハリー!」
ドラコの瞳がきつく細められる。

「でも、でも、でも」と勢いこんでドラコににじり寄り、言葉を続けた。
「僕たち、キスをしたよね?」
「ああ、したな」
「からだの関係もあるよね」
「まあな」
「僕は君のことが好きなんだ。君も僕のことを好きだよね?」
「ああ、好きだ」
照れるわけもなく、あっさりと条件反射のように答えられて、少しハリーはつまらない顔をする。

ドラコもハリーの扱いが、だいぶ分かってきたらしい。
ここで過剰に反応すれば、相手が喜ぶだけだと理解して、あえて、あっさりと答えたにすぎない。

「分かっているなら、ずっと僕たちはいっしょにいるべきだ!好きな者同士は、離れちゃダメだと思うんだ、僕としてはっ!離れると、――あぶないから!」
「何が危ないんだ?」
「遠距離恋愛は、70%の確立で分かれるって、統計が出ているんだよ!」
思わずドラコは、この持っている本の角の一番固い部分で、思い切り殴ってやろうかと、真剣に思った。

「いったい、誰と誰が、遠距離だ?!同じ家じゃないか!!」

ハリーはドラコをぎゅっと抱きしめた。
「せつないよー!ドラコといっしょに暮らせないなんて!」
ほほとほほをくっ付けて、かき口説く。

「ひっつくなっ!摺り寄せてくるなっ!お前は本当にうっとおしいヤツだなっ!」
ドラコは不機嫌そうな顔をして、腕でハリーを押し返そうとした。
もちろん、実戦を数多く潜り抜けてきたハリーのほうが力が強いので、ドラコはその腕から抜け出すことは出来ない。

「ドラコ、せつないよー。ドラコー…………」と言いながら彼を抱きしめたまま、ハリーは無理やりドラコごとずるずると引っ張って、バスルームへと続くドアを開けた。

「なんてことだ………」
がっくりとハリーのひざが折れて、その場にへたりこんだ。

「シャワーだけなんて……。バスがないのか、この部屋には?ああ、僕の夢が……、希望が……」
かなり落胆している相手を、珍しそうにドラコは眺めた。
ハリーのこんなにも落ち込んでいる姿を、そう見たことがない。
「いったい何で、落ち込でいるんだ、ハリー?そんなにお風呂が好きだったのか?別にシャワーだけでも、さっぱりすると思うぞ」
柄にもなく、ドラコが神妙な顔で慰める。

「僕は君といっしょにお風呂に入るのが、夢だったのに……。僕の夢が………」
「――-なんだそりゃ!」
同情して損をしたという顔で、ドラコは相手をにらみつけた。

「ドラコの髪もからだも洗いたかったのに。僕の夢が……。全部、叶わないなんて!ドラコとは部屋が別々、お風呂場でエッチはできないし、もうイヤだっ!!」
訳の分からない、ハリーの身勝手な黒い野望を聞いて、ドラコは眩暈がしてきた。

(自分は選ぶ相手を間違えたかもしれない)と、ふと後悔が頭をよぎる。

ドンとドラコは容赦なくハリーのからだを突き飛ばして、バスルームから追い出した。
そして、おもむろに鍵を中から閉める。
ハリーはノブを回して慌てて入ってこようとするが、もちろん開かない。

「ドラコ、いったいどうしたって言うんだよ!?」
ハリーはドアをドンドンとたたいた。
面倒くさうそうに、ドラコは答える。

「こちらのほうが、ひとりになれて、落ち着くんだ。残念だな、ハリー」
タイル張りの部屋を暖める呪文をかけて、棚に積んであるバスタオルを床に広げると、寝っ転がり読書の続きをはじめた。

忘れないように、鍵が開かない呪文もかけておく、用意周到さだ。
ドンドンとかなり長いあいだ扉をたたいていたようだが、やがて諦めたのだろう、その音はしなくなり部屋は静かになった。